クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【解答編】

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「おい、伊良部。なんだ、その刑事って解答は――」

 数藤の言葉と柚木のフリップに何かが重なって見えた九十九。思わず問うてみるが、それを遮るようにして藤木が声を上げる。

「さぁ、それでは正解の発表と参りましょう!」

 その、あまりの露骨さに違和感を抱いた九十九は、藤木の進行を無視して柚木に問いかける。

「なぁ、伊良部。その答え、何の意図があるんだ? それに、今回の事件についてずっと気になっている――」

「九十九さん!」

 しかし、九十九の言葉は藤木の声に遮られる。藤木は気味の悪い笑みを浮かべながら「お静かにお願いします」と人差し指を唇に当てた。残念ながら、番組内では藤木に逆らえない。下手に逆らって不利なペナルティーをくらうわけにもいかない九十九は、藤木に従って黙るしかなかった。

 スタジオ内にはいつものドラムロールが流れ始める。柚木の解答に引っかかりを覚えながらも答えを待つことにした九十九。まずは第3問目を切り抜けることのほうが優先なのは間違いない。どれだけの時間が柚木に残されているのかは分からないが、まだ彼女から話を聞くチャンスは残っているはずだ。いいや――そろそろ、降板イコール死亡というループを断ち切ってやりたい。

 シンバルが鳴り響いた。もはや、クイズ番組らしい体裁を保っているのは藤木本人だけのようで、もったいぶった様子で解答席を見回したところで、解答者からのリアクションは薄い。テレビ慣れしていたはずの凛ですら、随分とリアクションが薄くなっていた。

「発表します。第3問目の犯人は――伊良部柚木さんでしたぁぁぁぁ!」

 自分の導き出した答えに絶対的な自信があるわけではない。再現映像という曖昧な材料から答えを抽出しているようなものだから、得られる情報が状況証拠である場合が多く、決定打に欠けることもある。今回だって、正直なところぎりぎりだったと思う。それでも、珍しく犯人以外満場一致という形で幕を閉じることができた。

「今回は犯人である伊良部柚木さん以外は全員正解! もちろん、過半数も突破していますので、解答者の皆さんの正解といたします! まぁ、実際のところ全員正解ですが――。これまでと同じように正解された方には支給品の支給と1千万円を贈呈させていただきまーす。さぁ、盛り上がり続ける番組ですが、残念ながら今日はここまで。また明日の同じお時間にお会いしましょう!」

 今回は随分とあっさり番組を終わらせてしまった印象のある藤木。第2問目にいたっては、解答後の数藤との心理戦が終わるまで番組として成立していたのに、今回は解答が終わった途端に番組を終わらせた印象が強い。何か不都合なことでもあるのだろうか。
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