クイズ 誰がやったのでＳＨＯＷ

第３問 過去は明日と同じ夢を見るか【解答編】

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　追い詰められたがゆえに焦りを見せたのか、これまでの柚木ならば絶対にしないような発言をする。特に凛に対して年齢詐称――とは、随分と失礼な話だ。むろん、凛が黙っているわけがなかった。

「はぁ？　凛、16歳からずっと『アイドラ乙女』やってたし、年齢も詐称してねぇし。大体、教師なんてできるほど頭も良くないし」

　自分で言っておいて情けなくならないのだろうか。ただ、純粋に彼女が教員免許を取得できるか否か――という疑問に対しては無理だと断言できる。もっとも、それは九十九の主観的な部分が大きいのだが。いずれにせよ、見た目からして若く、学生の頃からアイドルに打ち込んできたようだし、彼女と教師をイコールで結びつけることは、どうしてもできなかった。

「桃山、落ち着けよ。確かに、あらゆる可能性を模索するのであれば、木戸が過去に教師をやっていたって可能性もゼロとは言えない。桃山が実は年齢詐称をしていて、どこかのタイミングで教師をやっていたかもしれない――というのも、現実的にはあり得ないが、それらを否定する材料がないのも事実だ。だから、ここからは新しい切り口が必要となる」

　できることならば、犯人と教師がイコールで繋がった時点で認めて欲しかった。自分が【丙】であると申告して欲しかった。けれども、そんな九十九の想いは虚しく、柚木は悪あがきをする。ならば、こちらは完膚なきまでに潰すまでだ。

「伊良部――。お前は自分で気づいていないだけで、実は自分が犯人だって名乗り出てたんだよ。首吊りの消失トリックについて、マジックの話題が出たの……覚えてるか？」

　実は九十九には切り札があった。それは、九十九がまさしくトリックへとたどり着いた際に交わされた会話の中にあった発言だ。柚木は失言してしまった自覚がないのだろう。首を小さく傾げるばかり。けれども、その表情からは血の気が引いていた。

「あの時、首吊り遺体が消失したことを、桃山がマジックショーみたいだと例えた。その際、あんた――なんて言ったか自分で覚えてるか？」

　ただでさえ色白の柚木。すでに血の気が引いているのが見て分かるというのに、まだ足りぬとばかりに血の気が引く。真っ青になった……という表現が一番しっくりくるだろう。どうやら、自分の発言がいかに失言だったのか気づいてくれたようだ。