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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【解答編】

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 ここまで来てしまえば消去法。まず、改めて凛は容疑者から外れる。曲がりなりにもアイドルグループのセンターをしていた人間が、二足のワラジで教師をやっていたなんて、到底考えられない。そもそも、年齢的にも辻褄が合わなくなるだろう。

「あ、だから騒動が起きた後、【丙】が『ホテル側に謝っておく』って言ったんだね。あれ、どうして騒ぎを起こした本人でもないのに謝るのか疑問に思ってたんだけど、【丙】が教師っていう立場なら納得」

 そんな凛は補足説明とばかりに、ちょうど九十九が補填しようと思っていた部分を埋めてくれた。

 正直、もう犯人が誰なのかは明白だった。それでも、あえて消去法を頭の中で強行する九十九。自身で頭の中を整理する意味合いがあったのであろう。

 眠夢は現役の高校生だ。【エキストラ】として登場した女子生徒の制服が、やや眠夢の着ているものに似ているように見えたが、どうやらそれは番組側が用意したミスリードというやつだったのであろう。現在、女子高生である彼女が、事件当時に教師をやっていたなんてことはあり得ない。ゆえに、眠夢も犯人から除外する。

「まぁ、そう言うこった。さて、この時点で犯人は2人に絞られた。まず、男は最初から犯人から除外されている。これは【丙】が女性であるという情報があらかじめ提示されているからだ。そして、アイドルグループのセンターをやっていた桃山、現役の女子高生である西潟は犯人から除外してもいいだろう。となると、残るは――木戸と伊良部ってことになる。そして、残った2人の中に、どう言うわけだか、たまたま犯人と全く同じ職種の人間がいた。すなわち、犯人はあんた――伊良部柚木だってことになるんだよ」

 決定打。九十九の放った言葉が聞こえたのか聞こえないのか、柚木はずっと前を見据えたまま身動きひとつしない。放心状態のように見えなくもないが、何かを深く考え込んでいるようにも見えた。

「さてぇ、それでどうされますかぁ? 答えを変更したい方は、今のうちに変更しておいたほうがいいですよぉ」

 九十九が決定打を放ったタイミングを見計らったのか、藤木がしばらく開いていなかった口を開いた。流れからして、そろそろ【最後の審判】も終わりとなるだろう。

「あ、あの――もしかすると木戸さんに教師だった経歴がないとも限りませんよね? 桃山さんだって、元アイドルかもしれませんけど、教師だった過去がないとは言い切れないのではないでしょうか? ね、年齢的に無理があるとか言われそうですけど……大体、アイドルって年齢詐称とかしてそうですし」
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