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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【解答編】
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九十九の問いかけに答える者はなし。おそらく、普通に家で過ごしている分には、なんら問題のないこと。ただ、それがホテルとなると、やや不自然となってしまうのだ。独壇場は避けたかったが、藤木がいつ【最後の審判】を打ち切ってしまうのか分からない以上、あまり時間をかけるわけにもいかない。仕方なく九十九は自らの問いに答えることにした。
「再現映像の中で不自然だった点。それは廊下の電気が消灯していたということだ」
九十九の言葉を聞いたアカリが、しばらく間を置いてから「あ、基本的にホテルの廊下って、ずっと電気が点いてるよね」と一言。九十九は大きく頷いた。
「あぁ、ホテルってのは、どの時間帯にも客がやってくる。そのほとんどが昼間だろうが、中には真夜中にチェックインする客だっているはず。だから、フロントはもちろんのこと、客室へと続く廊下が消灯していることなんてあり得ない。だが、再現映像では廊下が消灯してしまっている。それは、なぜなのか――」
また、他の誰かに答えを振ろうと思ったのであるが、その前にたまたま藤木と目が合った。その際、藤木が口を開くような素振りを見せたから、九十九は慌てて続ける。こんな中途半端なところで【最後の審判】を打ち切られのだけは避けたい。
「その日は、真夜中に客がチェックインすることがないと確定していたから。これが、まず廊下の電気が消灯していたひとつめの理由だ」
基本的に九十九が誰かに意見を求め、それに対してリアクションが起こるパターンがほとんどであるが、ここで話を振る前に「ちょっと待ってください」と誰かが割り込んできた。議論――という形にしたい九十九からすれば、実にありがたいことだ。そして、割り込んで来たのは意外なことに柚木であった。
「あの、そんな理由で廊下の電気を消灯したりはしないと思います。大体、それがどう犯人と関係してくるんですか?」
柚木はそう言うと、藤木のほうへと視線を一瞬だけやる。いつ【最後の審判】が打ち切られてしまうか分からない。柚木も生き延びるために必死なのであろう。
「確かに、その理由だけじゃ弱いよな。ここで、桃山が抱いた違和感――アルコール専用の自動販売機だけ電源が落ちていたという事実が重要になってくる。なぜ、廊下の電気が消灯されていたのか。なぜ、アルコール専用の自動販売機の電源が落ちていたのか。それは全て――ホテル側の客に対する気遣いだったんだよ」
「再現映像の中で不自然だった点。それは廊下の電気が消灯していたということだ」
九十九の言葉を聞いたアカリが、しばらく間を置いてから「あ、基本的にホテルの廊下って、ずっと電気が点いてるよね」と一言。九十九は大きく頷いた。
「あぁ、ホテルってのは、どの時間帯にも客がやってくる。そのほとんどが昼間だろうが、中には真夜中にチェックインする客だっているはず。だから、フロントはもちろんのこと、客室へと続く廊下が消灯していることなんてあり得ない。だが、再現映像では廊下が消灯してしまっている。それは、なぜなのか――」
また、他の誰かに答えを振ろうと思ったのであるが、その前にたまたま藤木と目が合った。その際、藤木が口を開くような素振りを見せたから、九十九は慌てて続ける。こんな中途半端なところで【最後の審判】を打ち切られのだけは避けたい。
「その日は、真夜中に客がチェックインすることがないと確定していたから。これが、まず廊下の電気が消灯していたひとつめの理由だ」
基本的に九十九が誰かに意見を求め、それに対してリアクションが起こるパターンがほとんどであるが、ここで話を振る前に「ちょっと待ってください」と誰かが割り込んできた。議論――という形にしたい九十九からすれば、実にありがたいことだ。そして、割り込んで来たのは意外なことに柚木であった。
「あの、そんな理由で廊下の電気を消灯したりはしないと思います。大体、それがどう犯人と関係してくるんですか?」
柚木はそう言うと、藤木のほうへと視線を一瞬だけやる。いつ【最後の審判】が打ち切られてしまうか分からない。柚木も生き延びるために必死なのであろう。
「確かに、その理由だけじゃ弱いよな。ここで、桃山が抱いた違和感――アルコール専用の自動販売機だけ電源が落ちていたという事実が重要になってくる。なぜ、廊下の電気が消灯されていたのか。なぜ、アルコール専用の自動販売機の電源が落ちていたのか。それは全て――ホテル側の客に対する気遣いだったんだよ」
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