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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【解答編】
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「再現映像の中では【丙】が犯人だった。じゃあ、実際のところ【丙】はこの中の誰なのか――。まず、明確に分かっていることは、男性陣は犯人ではないということだ。再現映像でもそうだったが【丙】は女性だ。よって犯人も女性ということになるだろう。言うまでもないが、木戸、西潟、伊良部、桃山の4人のうち誰かが【丙】だと考えていいだろう」
再現映像で犯人となった【丙】と、解答者の中に紛れ込んでいる犯人。これらをリンクさせるためには、再現映像の中に散りばめられていた背景を紐解く必要がある。逆を言ってしまえば、その背景さえ紐解いてしまえば、犯人が明らかになるのだ。
「さて、現時点で明確になったまま放置されている謎について言及していこうか。まずは再現映像の中での登場人物の扱い。【A】【B】【C】と【甲】【乙】【丙】――どうして名前のカテゴリが分けられていたのか? これ、実はそのまま本当にカテゴリ分けされていたんだ。つまり【A】達と【甲】達には、ある違いがあったんだよ。では、その違いとはなんなのか? それは、再現映像の中にあった違和感を追っていけば分かる」
九十九はそこで言葉を区切る。再現映像の中の犯人像と、実際の犯人。それをリンクさせる情報をひとつずつ拾い上げて繋げる単純な作業。その作業も、できることならばワンマンになりたくはないのだが。
「あ、違和感っていうほどじゃないけど、ちょっとおかしいなって思っていたところはあるよ」
手を挙げたのは凛だった。まだテレビを意識しているのか否かは別にして、積極的に発言してもらえるのはありがたい。特に彼女は――言い方は悪いが、頭の悪そうなキャラクターだからなおさらだ。九十九は笑みを浮かべつつ「桃山、どこに違和感があった?」と問うた。
「自動販売機に【A】達が買い物に行くシーン。あそこにアルコール専用の自動販売機があったけどさ、あれの電源が落ちてるのが、なんか不自然だったんだよね。あんまり、自動販売機の電源が落ちてるのって見たことないし」
凛の抱いた違和感は、九十九が求めていたものとは少しばかり異なっていた。むろん、突き詰めれば同じところに行き着くわけなのだが、それよりも明らかに不自然な点があるのだ。答えを言ってしまうのは簡単だが、今回は周囲に話を振るスタンスを貫く。
「確かに、アルコール専用の自動販売機だけ電源が落ちているってのは妙な話だ。でもよ、もうひとつ――ホテルとしては妙だった点があるんだよ。どこだったか分かるやつ、いるか?」
再現映像で犯人となった【丙】と、解答者の中に紛れ込んでいる犯人。これらをリンクさせるためには、再現映像の中に散りばめられていた背景を紐解く必要がある。逆を言ってしまえば、その背景さえ紐解いてしまえば、犯人が明らかになるのだ。
「さて、現時点で明確になったまま放置されている謎について言及していこうか。まずは再現映像の中での登場人物の扱い。【A】【B】【C】と【甲】【乙】【丙】――どうして名前のカテゴリが分けられていたのか? これ、実はそのまま本当にカテゴリ分けされていたんだ。つまり【A】達と【甲】達には、ある違いがあったんだよ。では、その違いとはなんなのか? それは、再現映像の中にあった違和感を追っていけば分かる」
九十九はそこで言葉を区切る。再現映像の中の犯人像と、実際の犯人。それをリンクさせる情報をひとつずつ拾い上げて繋げる単純な作業。その作業も、できることならばワンマンになりたくはないのだが。
「あ、違和感っていうほどじゃないけど、ちょっとおかしいなって思っていたところはあるよ」
手を挙げたのは凛だった。まだテレビを意識しているのか否かは別にして、積極的に発言してもらえるのはありがたい。特に彼女は――言い方は悪いが、頭の悪そうなキャラクターだからなおさらだ。九十九は笑みを浮かべつつ「桃山、どこに違和感があった?」と問うた。
「自動販売機に【A】達が買い物に行くシーン。あそこにアルコール専用の自動販売機があったけどさ、あれの電源が落ちてるのが、なんか不自然だったんだよね。あんまり、自動販売機の電源が落ちてるのって見たことないし」
凛の抱いた違和感は、九十九が求めていたものとは少しばかり異なっていた。むろん、突き詰めれば同じところに行き着くわけなのだが、それよりも明らかに不自然な点があるのだ。答えを言ってしまうのは簡単だが、今回は周囲に話を振るスタンスを貫く。
「確かに、アルコール専用の自動販売機だけ電源が落ちているってのは妙な話だ。でもよ、もうひとつ――ホテルとしては妙だった点があるんだよ。どこだったか分かるやつ、いるか?」
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