クイズ 誰がやったのでＳＨＯＷ

第３問 過去は明日と同じ夢を見るか【解答編】

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　首吊り死体を【Ａ】達が目撃してから、現場に到着するまでの間に犯人は死体を消失させた。実のところ、その発想自体が大間違いなのだ。

「だが、それなら犯人はどうやって短時間で死体を消失させたんだ？」

　長谷川がぽつりと漏らした言葉が、九十九にとっては程よいパスとなってくれた。まずは、大前提となっている部分から崩してやるとする。

「発想を変えるんだよ。つまり、【Ａ】達が部屋に駆けつけた時、首吊り死体は【Ａ】達が目撃した部屋にぶら下がったままで、消失なんてしていなかったんだよ」

　首吊り死体は消失などしていない。騒動の間を通して【Ａ】達が窓際に目撃した部屋でぶら下がっていたのだ。

「でも、だったら【Ａ】達が部屋に駆けつけた時、普通に首吊り死体を発見しちゃうんじゃない？　だって、首吊り死体は消失なんてしていなかったんでしょ？」

　アカリの言葉に頷いた九十九は、決定的な一言を放つ。今回の事件の真実は、錯覚館なる特殊な状況が生み出した魔法だった。

「もし本当に【Ａ】達が首吊り死体を目撃していた部屋に駆けつけていたら――な。実際のところ、そうじゃなかったから首吊り死体が消失したように見えてしまったわけだが」

　九十九が伝えたいことが、どこまで伝わっているのだろうか。凛がやや訝いぶかしげに首を傾げる。

「それって、実際に【Ａ】達が首吊り死体を目撃した部屋と、駆けつけた部屋が別だったってこと？　でも、【Ａ】達は向かって一番左端の部屋に首吊り死体を目撃して、そのままフロントを駆け抜けて、廊下を曲がった最初の部屋の前に駆けつけた。こうやって事実を追ってみると、間違いなく【Ａ】達が駆けつけた部屋は、首吊り死体を目撃した部屋と同じってことになると思うんだけど」

　まるでお手本のような推測をしてくれる凛。すなわち、犯人はある手段を使って、そのように見せかけ、結果的に死体が消失したように見せかけたのである。

「そこで、鍵となってくるのが、雪囲いの役割も持っていたベニヤ板なんだよ。あれは、再現映像を見る限り、廊下の両端に位置する場所に立てかけてあった。そして、ここで大事なのは――雪囲いのためにベニヤ板が中庭に用意されているということ。これが何を意味するかと言うと、窓の枚数分……つまり、部屋の数だけのベニヤ板が用意されていたってことだ。そうしなきゃ、雪囲いの意味がねぇからな。再現映像では廊下の両端に立てかけてあるだけにしか見えないが、おそらく複数枚を重ねて立てかけていたんじゃねぇかな。多分【チョイスアンドチョイス】で【鑑識の見解】を選んでいたら、この辺のことが詳しく分かったのかもしれない」