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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【解答編】

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「いや、だって明らかに様子がおかしいでしょ? 2問目の解答を放棄した辺りから――。今回だって、スタジオに来るのを拒絶とかしたじゃん。それって、自分が何かしらの罪を犯したことを知っていて、その事件が出題されるかもしれないと思ったからボイコットしようとしたんじゃないの?」

 凛の言い分は、ロジックと言うよりかは感情論に近い。お互いに疑い合うのは嫌だと、第2問目では解答権を放棄し、この3問目にいたってはスタジオに来ることを拒否した柚木。単純に精神的に参っているだけという可能性もあるが、しかし凛の言い分も決してあり得ないわけではないだろう。もっとも、それはそれで分かりやすい反応をしてくれていることになるわけだが。

「なるほど、そう考えると、伊良部さん辺りが犯人なのかもしれませんねぇ。現状で2名の方から犯人かもしれないと疑われているわけですし。さて、そんな伊良部さんの解答はどうなっているのでしょうか?」

 もしかすると、またしても解答権を放棄しているかもしれない。彼女の場合は九十九のように思惑があるわけではなく、単純に放棄している節が見える。しかし、どうや今回はしっかりと答えを書いたようだ。藤木がフリップを覗き込むように首を傾げた。

「おや、伊良部さんは長谷川さんを犯人だと解答しましたかぁ。これは、実に面白い展開となって参りましたぁ! なんと、ほとんどの解答がバラバラです! さぁ、ここから解答者のみなさんは、過半数の正解を導き出すことができるのでしょうか?」

 今回は解答がまるでバラバラ。犯人候補として名前が上がったのは、アカリ、眠夢、柚木、長谷川の4人。九十九の答えは無効票としてカウントされ、この犯人候補の中で柚木が唯一2票を獲得している状況。これまでは、この段階である程度の意思疎通ができていたから、ここまで答えがバラバラになることはなかった。ここから真実へと向かって答えを統一していく。果たして、まだそれが可能な段階なのか。音もなく迫り来る疑心暗鬼の影は、着実に九十九達を飲み込もうとしていた。

「それではここで【最後の審判】です! みなさんには存分に議論していただきます!」

 これまでは、そこまでありがたみのなかった【最後の審判】であるが、どうやら今回ばかりは名前の通り最後の審判――チャンスとなるだろう。この時間内に過半数以上の人間を納得させるような推論を展開しなければならない。
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