313 / 506
第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【解答編】
3
しおりを挟む
「いや、だって明らかに様子がおかしいでしょ? 2問目の解答を放棄した辺りから――。今回だって、スタジオに来るのを拒絶とかしたじゃん。それって、自分が何かしらの罪を犯したことを知っていて、その事件が出題されるかもしれないと思ったからボイコットしようとしたんじゃないの?」
凛の言い分は、ロジックと言うよりかは感情論に近い。お互いに疑い合うのは嫌だと、第2問目では解答権を放棄し、この3問目にいたってはスタジオに来ることを拒否した柚木。単純に精神的に参っているだけという可能性もあるが、しかし凛の言い分も決してあり得ないわけではないだろう。もっとも、それはそれで分かりやすい反応をしてくれていることになるわけだが。
「なるほど、そう考えると、伊良部さん辺りが犯人なのかもしれませんねぇ。現状で2名の方から犯人かもしれないと疑われているわけですし。さて、そんな伊良部さんの解答はどうなっているのでしょうか?」
もしかすると、またしても解答権を放棄しているかもしれない。彼女の場合は九十九のように思惑があるわけではなく、単純に放棄している節が見える。しかし、どうや今回はしっかりと答えを書いたようだ。藤木がフリップを覗き込むように首を傾げた。
「おや、伊良部さんは長谷川さんを犯人だと解答しましたかぁ。これは、実に面白い展開となって参りましたぁ! なんと、ほとんどの解答がバラバラです! さぁ、ここから解答者のみなさんは、過半数の正解を導き出すことができるのでしょうか?」
今回は解答がまるでバラバラ。犯人候補として名前が上がったのは、アカリ、眠夢、柚木、長谷川の4人。九十九の答えは無効票としてカウントされ、この犯人候補の中で柚木が唯一2票を獲得している状況。これまでは、この段階である程度の意思疎通ができていたから、ここまで答えがバラバラになることはなかった。ここから真実へと向かって答えを統一していく。果たして、まだそれが可能な段階なのか。音もなく迫り来る疑心暗鬼の影は、着実に九十九達を飲み込もうとしていた。
「それではここで【最後の審判】です! みなさんには存分に議論していただきます!」
これまでは、そこまでありがたみのなかった【最後の審判】であるが、どうやら今回ばかりは名前の通り最後の審判――チャンスとなるだろう。この時間内に過半数以上の人間を納得させるような推論を展開しなければならない。
凛の言い分は、ロジックと言うよりかは感情論に近い。お互いに疑い合うのは嫌だと、第2問目では解答権を放棄し、この3問目にいたってはスタジオに来ることを拒否した柚木。単純に精神的に参っているだけという可能性もあるが、しかし凛の言い分も決してあり得ないわけではないだろう。もっとも、それはそれで分かりやすい反応をしてくれていることになるわけだが。
「なるほど、そう考えると、伊良部さん辺りが犯人なのかもしれませんねぇ。現状で2名の方から犯人かもしれないと疑われているわけですし。さて、そんな伊良部さんの解答はどうなっているのでしょうか?」
もしかすると、またしても解答権を放棄しているかもしれない。彼女の場合は九十九のように思惑があるわけではなく、単純に放棄している節が見える。しかし、どうや今回はしっかりと答えを書いたようだ。藤木がフリップを覗き込むように首を傾げた。
「おや、伊良部さんは長谷川さんを犯人だと解答しましたかぁ。これは、実に面白い展開となって参りましたぁ! なんと、ほとんどの解答がバラバラです! さぁ、ここから解答者のみなさんは、過半数の正解を導き出すことができるのでしょうか?」
今回は解答がまるでバラバラ。犯人候補として名前が上がったのは、アカリ、眠夢、柚木、長谷川の4人。九十九の答えは無効票としてカウントされ、この犯人候補の中で柚木が唯一2票を獲得している状況。これまでは、この段階である程度の意思疎通ができていたから、ここまで答えがバラバラになることはなかった。ここから真実へと向かって答えを統一していく。果たして、まだそれが可能な段階なのか。音もなく迫り来る疑心暗鬼の影は、着実に九十九達を飲み込もうとしていた。
「それではここで【最後の審判】です! みなさんには存分に議論していただきます!」
これまでは、そこまでありがたみのなかった【最後の審判】であるが、どうやら今回ばかりは名前の通り最後の審判――チャンスとなるだろう。この時間内に過半数以上の人間を納得させるような推論を展開しなければならない。
1
お気に入りに追加
182
あなたにおすすめの小説

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。


王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
ミノタウロスの森とアリアドネの嘘
鬼霧宗作
ミステリー
過去の記録、過去の記憶、過去の事実。
新聞社で働く彼女の元に、ある時8ミリのビデオテープが届いた。再生してみると、それは地元で有名なミノタウロスの森と呼ばれる場所で撮影されたものらしく――それは次第に、スプラッター映画顔負けの惨殺映像へと変貌を遂げる。
現在と過去をつなぐのは8ミリのビデオテープのみ。
過去の謎を、現代でなぞりながらたどり着く答えとは――。
――アリアドネは嘘をつく。
(過去に別サイトにて掲載していた【拝啓、15年前より】という作品を、時代背景や登場人物などを一新してフルリメイクしました)
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる