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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【解答編】

第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【解答編】1

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【1】

 どうやら、この3問目というのは鬼門であり、どうにもタイミングが合わないらしい。九十九の中でいくつもの計算違いが生じ、なんともうまくいかない。今回の藤木は休憩時間の長さに言及しないままスタジオを後にしたわけであるが、これまでより早く戻ってくるとは思いも寄らなかった。こちらの思惑をことごとく潰すかのごとく、さぁ議論を再開しようとしたタイミングで戻ってくる辺り、もはや悪意すら感じる。

 議論の場が完全に絶たれてしまった。いや、正確には【最後の審判】があるのだから、議論をする場は残されている。しかしながら、事前に解答者同士で答えを共有することは叶わなかった。もちろん、解答者全員が納得するように説明する場もなかったわけだ。こんなことならば、休憩なんて取らないで、さっさと論じておくべきだった――と後悔しても、あとの祭りというやつだ。

「さぁ! お待たせしましたぁ! それでは、解答のお時間です! フリップに答えをお書きください!」

 シンキングタイムから休憩を挟み、最初の解答を提出する。この解答がそのまま解答となるわけではないから、ファーストインプレッション……第一印象的な扱いだと考えたほうがいい。その先にある【最後の審判】で修正をすることは可能であるが、できることであれば、第一印象であっても構わないから、今回の犯人をフリップに書いている人間がいるとありがたい。案外、それが直感的なものであっても、そのような人間は説得しやすいからだ。

 とても安っぽいBGMに背中を押され、各々がフリップへと答えを書く。ここで九十九はちょっと一工夫。あえて犯人の名前を書かずにフリップを出すことにした。どちらにせよ、詳細は【最後の審判】で説明させてもらうことになるだろうし、その際に犯人の名も明かすつもりでいる。先に犯人の名前をフリップに書いて、先入観を与えないほうが良いと考えたのだ。徐々に疑心暗鬼へと陥りつつある一同。下手をすると、その先入観さえもが九十九の小細工のように見えてしまい、どれだけ説得力のある推測を展開させても、素直に従ってもらえない可能性がある。そうならないためにも、できる限りフラットな状態から始めたかった。

「さぁ、みなさん。答えが出揃ったようです。それでは、一斉にフリップをどうぞ!」

 予想よりも早く藤木が帰ってきたせいで、アカリとさえも事前に打ち合わせもできなかった。もちろん、解答についての段取りもなしだ。本人には心配するなと伝えてはあるが、誰を犯人として指定すればいいのかは打ち合わせることができなかった。ゆえに、ここで彼女が誰の名前を書くのかは未知数だ。
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