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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【出題編】

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「いや、数藤は番組側が用意したシャンパンを飲んで死んだ可能性が高い。となると、番組側――あちら側の人間がやることは数藤にシャンパンを差し入れることだけだし、それなら藤木を使って差し入れさせればいいだけだからな。残念ながら黒幕を絞り込む材料にはならねぇよ」

 九十九が言うと、アカリは露骨に大きな溜め息を漏らした。

「あのさ、私達の中に黒幕なんているのかな?」

 そう思いたくなる気持ちは分からなくはない。理不尽な事情でこんな馬鹿げたことをやらされている者同士、できることなら手を取り合って、問題へと挑むべきだ。しかしながら、それは藤木が断言してしまっている。つまり、それは番組側の回答と考えてもいい。

「――いるんだろうなぁ。虫を殺さないような顔をしていながら、平気で人を殺すような真似をする奴は腐るほどいる。むしろ、そうやって社会に溶け込んでるようなタチの悪い奴までいるくらいだ。先入観は捨てたほうがいいだろうし、信用もしないほうがいい」

 スタジオでは、各々が自由に動いていた。もっとも、トイレに行ってしまうと、他にやることがない。数藤の一件のせいか、用意されている差し入れのお茶などに口につける者もいなかった。柚木と凛はさっさと解答席に戻ってしまった。眠夢と長谷川は、九十九達と反対側になる壁の付近で、何やら会話をしているようだった。長谷川が変なことを眠夢に吹き込んでいなければいいのだが。

「あのさ、信用していいんだよね? あんたのこと――」

 根本的に気が強く、だから気丈に振る舞っているのだろう。そう呟いたアカリは、九十九のシャツの裾をつまむように掴んでいた。その指先は震えている。

「――好きにしろ。お前にどう思われようが俺には関係ねぇからな」

 やや突き放した言い方になってしまったが、そろそろ時間だ。生き残るために第3問目についての議論を始めなければならない。

「あ、あんたねぇ! 言い方ってものが――」

「文句は後で聞く。この面倒な3問目が終わってからな」

 それはある意味、九十九の決意のようなものだった。そう、必ずや第3問目も過半数以上の正解数をもぎ取ってやるという決意。

「……うん。分かった」

 そのニュアンスはアカリにも伝わったのか、同意するかのように小さく頷いた。それを見て九十九は解答席へと戻るべく壁から離れる。アカリもそれにならって解答席へ。

 首吊り死体が消えた謎。そして、再現映像の中の犯人と現実の犯人をリンクさせる証拠。あとはこれらをぶつけるだけ。

 ――必ずや生き延びる。
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