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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【出題編】

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 藤木のスイッチがオフになったということは、つまりカメラもオフとなっているはず。もうわざわざ休憩に入ることを告げるまでもない――といった具合に「それでは、また休憩が明けてから」とスタジオを後にする藤木。やはり、その存在感というものは大きいようで、彼がスタジオから出て行くと、どこからか安堵の溜め息のようなものが聞こえた。

「とりあえず、ちょっと休憩しようか。どうにも頭を酷使しているせいか、肩が凝ってくる」

 藤木が去った後、ただ静寂ばかりが残っていたスタジオに長谷川の声が響いた。長谷川はそれらしく肩を回しながら解答席から立ち上がる。表向きは休憩ということにはなっているが、本当にゆっくりと休まれてしまっては困る。ただ、問題を重ねるごとに、みんなのメンタルが少しずつ削り取られてしまっているのも事実。当たり前だが、この番組に付き合っているだけでも、かなりのストレスとなっていることだろう。とりあえず、ここは長谷川の言う通り、少し休憩を挟んだほうがいい。

 九十九は解答席から離れると、とりあえずトイレを済ませる。数藤の最期に立ち会ってしまっただけに、番組側が用意してあるお茶などに手をつける気にはなれなかった。九十九はスタジオの壁に寄りかかると、その全景を見渡す。

 それなりの作りの解答席。安っぽいながらも、辛うじてクイズ番組の体裁を保っているセット。ここがどこなのかは分からないが、いざスタジオのセットを作り上げようと思えば、それなりのまとまった金額が必要になるはず。それだけの金をかけて、このクイズ番組をやる意図はどこにあるのか。

「ねぇ、もう犯人の目星はついてるんでしょ? どうせ解答を合わせなきゃいけないんだから、教えてくれたっていいのに」

 そう言いながら九十九と同じように壁へと寄りかかったのはアカリだった。

「お前、馬鹿か。さっきの時点で犯人が誰なのかを明らかにしていたら、この休憩時間の空気が悪くなるだろうが。ただでさえ、みんな精神的に参っているんだ。このあと、できるだけ余裕を持って議論――【最後の審判】を行うためにも、あえて公表すべきではないと考えたんだよ」

 九十九が返すと、きっとスタジオに内になんとなく流れるギスギスとした空気を感じ取ったのだろう。アカリは「確かに、この状況で誰が犯人なのかとか分かってたら、絶対に気まずいわ」と溜め息を漏らした。
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