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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【出題編】

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 これまでは比較的余裕を持ちながらクイズに挑むことができた。けれども、いきなり難易度が一気に跳ね上がってしまった気がする。いつもの流れならば、解答を出した後に休憩を挟み、そして最終的に答えを決定する【最後の審判】を経て解答となる。果たして、それまでに真相にたどり着くことができるのか。焦りは禁物ではあるが、しかし気持ちがいてしまう。できる限り、そのような一面は見せないほうがいい。そのようなマイナスの感情というものは、嫌でも伝染してしまうものだから。

「まずは、最大の謎から考えて行こう。つまり【A】達が発見した首吊り死体は、どこに消えたかだ」

 努めて冷静に。むしろ、余裕を持っているように見せかけながら話を展開させなければならない。ただでさえ疑心暗鬼が広がり、絶妙なバランスで立っているようなものなのだ。可能な限り、周囲を刺激せず、また不安を与えず、ただ答えを見つけるという目的に集中する。

「事件をざっと整理してみる?」

 誰に言うでもなく言ったように聞こえたが、アカリは横目で九十九のほうを見てくる。もしかすると、九十九が内心で焦りを感じているのを見抜かれてしまっているのかもしれない。

「あぁ、そうするか」

 九十九が答えると、まるで九十九が考える時間を稼ぐかのように、アカリが続けた。陣頭指揮を執りつつ、事件のことまで考えるというのは中々に面倒だ。ここは彼女の気遣いに甘えておこう。地味で可愛げのない女だと思っていたが、少しばかり見直した。

「事件は【A】達の部屋に電話がかかってきたことから始まった。その電話で起こされた【A】と【C】は、続いて部屋の外から悲鳴のようなものがしたことに気づき、外へと出る。そこで、中庭越しに、一番端の部屋――【甲】の部屋で首吊り死体を発見。現場に向かうべく、フロント前を通って【甲】の部屋へと向かった。その際、フロントマンに声をかけ、フロントマンも彼らに同行している」

 再現映像はそれぞれが一度しか見ておらず、もちろん人によって記憶として印象に残っている部分が違ってくるだろうし、記憶違いという可能性もある。だから、アカリだけに任せるのはリスクがある――と、そんな九十九の思考を読み取ったかのごとく、アカリが一息入れたところで「じゃあ、そこから先は私から」と眠夢が口を開いた。状況的に、そして物理的に、今回の問題が難しいものであることを理解しているのであろう。九十九だけに任せにはしまいという意思のようなものが感じられた。
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