クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【出題編】

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 得ることのできる情報は【事件の概要】と【乙の証言】のみ。これだけで事件の謎を解くことができるのだろうか。いいや、解けるようになっていなければ困る。選んだ情報によって難易度が変わったりするのは仕方がないが、根本的に謎が解けるような仕様でなければクイズとはいえない。もし、本当にそんな作りになっているのであれば、後で抗議のひとつでもしなければならないだろう。

 解答席へと戻ると、藤木がポケットからカードのようなものを取り出す。また再現映像にて情報が与えられるかと思ったのだが、どうやら藤木の口頭らしい。再現映像だけでは味気ないとでも考えて、あえてこんなことをしているのだろうか。

「では、まずは九十九さんが選んだ情報――【事件の概要】からお伝えしましょう。あらかじめ言っておきますが、質問などは受け付けませんので」

 そのような前置きをすると、カードに書かれている内容を読み上げる藤木。彼の手元には複数枚のカードがあるようだ。きっと、選択しなかった情報も、彼の手元にあるのだろう。

 淡々と藤木が読み上げる事件概要。それを頭の中でまとめる九十九。

 被害者の名前は【甲】――女性。このホテルには仕事でやって来ていた。事件前夜は、宴会場にて夕食をとり、同僚と翌日の打ち合わせをした後から行方が分からなくなっている。翌日、自分にあてがわれた客室で首を吊っているのを、他の客が発見。被害者の部屋のカーテンは開いており、中庭越しに被害者の部屋を目撃した客からフロントへと通報。フロントから警察へと通報された。なお、被害者の部屋はフロント側にもっとも近い部屋――すなわち【A】達が前日の夜に首吊りを目撃したはずの、一番左端の部屋だった。

 客から通報を受けたフロントマンは、警察へと通報すると同時に、被害者の部屋へと向かった。念のためにマスターキーを持って行ったそうだが、しかし部屋の鍵は開いており、そこで【甲】が首を吊って絶命しているのを発見した。

 被害者の死亡推定時刻は、前日深夜から朝方にかけて。首吊りは宙にぶら下がっているため、検死による死亡推定時刻の割り出しが難しいそうだ。それゆえに、長めに死亡推定時刻が設定されているとのこと。被害者の死因は頸部圧迫による窒息死。ただし、被害者の首筋からは、ロープがすれた痕と、何者かの手によって首を絞められた痕の両者が発見されている。これにより、警察は殺人事件であると断定した。
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