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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【出題編】
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『あっ――【丙】。いや、この部屋で人が首を吊ってるのを、俺達見たんだよ!』
わざわざ【A】【B】【C】と【甲】【乙】【丙】と分けられた登場人物達。しかしながら、【A】の反応から察するに、どうやら双方は知り合いという設定のようだ。それならば、アルファベットに統一したほうがいいように思えるのだが。
『えっ。そこは――【甲】の部屋なんだけど、まさか【甲】が?』
【丙】が言うと【A】と【C】が顔を見合わせ、表情をこわばらせる。そのリアクションからして、【甲】もまた【A】達と面識があるのだろう。どうでもいいことなのかもしれないが、しかし統一性がないことには疑問がわく。どうしてわざわざ分ける必要があるのだろうか。
『お待たせしました!』
【A】達と【丙】が会話を交わしている間に、マスターキーを取りに行ったフロントマンが帰ってくる。
『あの、私も立ち会います』
そう言うと部屋から出てくる【丙】。ホテルの部屋には、大抵部屋着が置いてあるが【丙】はそれを着ているようだった。ただ、自前なのか足元には厚手の靴下を履いていた。しかもズボンの裾まで一緒に巻き込んでだ。
対面側の廊下で首を吊った人影を発見し、そのまま部屋まで駆けつけた【A】と【C】。隣の部屋だというのに、2人が駆けつけるまで騒ぎに気づかなかった様子の【丙】。状況が掌握できていないから、まだ何ともつかみ所のない事件になっているが、九十九はすでに違和感を抱き始めていた。
『お客様! お客様!』
鍵を勝手に開けてしまう前に、念のために確認しておきたかったのであろう。やや乱暴に部屋の扉をノックするフロントマン。しかし、中からの反応はない。
『お客様、誠に勝手ではありますが、お部屋の鍵を開けさせていただきます』
やきもきとしている様子の【A】達を尻目に、もう一度だけ確認を取るフロントマン。商売柄、分かってはいても客に対する確認は怠れないのであろう。
フロントマンがようやく扉の鍵を開ける。カチャリと音がすると『あ、開きました』と、ドアノブから手を離した。部屋の中には首吊り死体があるかもしれないのだ。先頭に立って扉を開けるのには勇気がいることであろう。
『俺が開ける――』
そこはさすが主人公といったところか。怖気づいたフロントマンに代わってドアノブに手を伸ばしたのは【A】だった。
ドアノブに手をかけつつ、アイコンタクトをお互いに取る一同。これだけの騒ぎでありながら、廊下に顔を出したのは【丙】のみだ。もしかすると、かなり防音がしっかりしているのかもしれない。それならば、2人が駆けつけるまで、隣の部屋にいた【丙】が顔を出さなかったことにも納得できる。
わざわざ【A】【B】【C】と【甲】【乙】【丙】と分けられた登場人物達。しかしながら、【A】の反応から察するに、どうやら双方は知り合いという設定のようだ。それならば、アルファベットに統一したほうがいいように思えるのだが。
『えっ。そこは――【甲】の部屋なんだけど、まさか【甲】が?』
【丙】が言うと【A】と【C】が顔を見合わせ、表情をこわばらせる。そのリアクションからして、【甲】もまた【A】達と面識があるのだろう。どうでもいいことなのかもしれないが、しかし統一性がないことには疑問がわく。どうしてわざわざ分ける必要があるのだろうか。
『お待たせしました!』
【A】達と【丙】が会話を交わしている間に、マスターキーを取りに行ったフロントマンが帰ってくる。
『あの、私も立ち会います』
そう言うと部屋から出てくる【丙】。ホテルの部屋には、大抵部屋着が置いてあるが【丙】はそれを着ているようだった。ただ、自前なのか足元には厚手の靴下を履いていた。しかもズボンの裾まで一緒に巻き込んでだ。
対面側の廊下で首を吊った人影を発見し、そのまま部屋まで駆けつけた【A】と【C】。隣の部屋だというのに、2人が駆けつけるまで騒ぎに気づかなかった様子の【丙】。状況が掌握できていないから、まだ何ともつかみ所のない事件になっているが、九十九はすでに違和感を抱き始めていた。
『お客様! お客様!』
鍵を勝手に開けてしまう前に、念のために確認しておきたかったのであろう。やや乱暴に部屋の扉をノックするフロントマン。しかし、中からの反応はない。
『お客様、誠に勝手ではありますが、お部屋の鍵を開けさせていただきます』
やきもきとしている様子の【A】達を尻目に、もう一度だけ確認を取るフロントマン。商売柄、分かってはいても客に対する確認は怠れないのであろう。
フロントマンがようやく扉の鍵を開ける。カチャリと音がすると『あ、開きました』と、ドアノブから手を離した。部屋の中には首吊り死体があるかもしれないのだ。先頭に立って扉を開けるのには勇気がいることであろう。
『俺が開ける――』
そこはさすが主人公といったところか。怖気づいたフロントマンに代わってドアノブに手を伸ばしたのは【A】だった。
ドアノブに手をかけつつ、アイコンタクトをお互いに取る一同。これだけの騒ぎでありながら、廊下に顔を出したのは【丙】のみだ。もしかすると、かなり防音がしっかりしているのかもしれない。それならば、2人が駆けつけるまで、隣の部屋にいた【丙】が顔を出さなかったことにも納得できる。
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