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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【出題編】

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『こうして、旅行へとやってきた【A】達は、夕食に舌鼓を打ち、館内を散策し、翌日の予定もあったために就寝することにしました。しかし、その深夜のこと――』

 場面は切り替わり、うっすらと暗くなった室内らしき場所が映った。室内だと分かったのは【A】と【C】が隣り合って寝ていたからだ。ただ、やけにカメラが近い。撮影のやり方に難癖をつけたりはしたくないが、もう少しカメラを引いたほうがホテルの室内ということが分かるのではないだろうか。

 ――午前3時。

 テロップが表示されると同時に電話の音が鳴った。どうやら内線電話のようだった。しばらく内線電話が鳴り響いたのち、渋々といった様子で【A】が起き上がった。相変わらず近いカメラは【A】が内線電話を取る横顔を映し出す。

『はい……』

 そこでまたナレーションが入る。いちいちナレーションを入れるよりも、カメラをもっと引き気味にして、映像で伝えるようにすればいいのに――と思うのは九十九だけなのだろうか。

『時刻は深夜と明け方の境目。部屋で寝ていたのは【A】1人だけではなかったのだから、彼が内線電話に出る義務はありませんでした。けれども、内線電話の呼び出し音があまりにも耳障りであり、無視することもできなかった彼は、仕方がなく電話に出ました。これが――全ての始まりだったとも知らずに』

 ナレーションが終わるまで静止していた映像が動き出す。深夜に鳴り響いた内線電話。こんな時間にどこからの電話がかかってきたのか。内線電話という呼び方をするということは、おそらく館内のどこかからの電話なのであろうが。

『助けて! このままじゃ殺される! 私の部屋まで助けに来て!』

 まだ半分眠っていた様子の【A】は、受話器越しに聞こえた女性の言葉に面食らったようだった。受話機を耳に当てたままワンテンポ遅れてから『えっ?』と漏らす。それを待っていたかのように電話は切れてしまった。そしてまたナレーション。

『真夜中にかかってきた奇妙な電話。もちろん【A】は真っ先に悪戯ではないかと疑いました。けれども、時刻は午前3時。誰かが悪戯をするには、さすがに非常識な時間です。どこかの部屋から助けを求める電話がかかってきた。どこの部屋からかかってきたのかは分からないが、もしこれが悪戯ではなかったとしたら……。元より【A】の中にある正義感というものが大きく彼を突き動かします。とりあえず廊下に出てみようと考えた【A】は、しかし1人ではさすがに怖かったので、【C】を起こすことにしました』
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