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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【出題編】

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 それぞれの事件が、一体どれくらいのスパンで発生したのかは分からない。しかし、少なくとも3件の殺人事件が起きる地域とは、随分と物騒である。殺人ともなれば管轄の警察は大変だろうし、本署――県警のほうから人がやってきて捜査本部が結成されることになる。そうなれば大騒動である。

「それに、何度も殺人が起こった地域ともなれば、町おこしもへったくれもなくなりますね。今も芸術を推して観光客を呼び込んでいるんでしょうか?」

 事件が起こったと思われる地域は、町おこしのために芸術を全面に押し出していた。皮肉なことに、第2問では、そのモニュメントのひとつであろう【虚無の石櫃】内で起きてしまい、また第3問については、建築家と芸術家がコラボレーションして建造したホテルが舞台だ。こうも立て続けに事件が起きてしまったら、観光客の足も遠のくだろうに。

「どうだろうな? しかも、どの事件も未解決ときたもんだ。どうして、こうも事件を解決できない? 同じ刑事として歯がゆくてかなわん」

 同じ管轄内で起きた事件。それらは、全てが未解決。長年刑事をやっている出雲の、俗いう刑事デカ魂というものに火が点いたのであろう。事件が未解決のまま終わっていることに腹を立てているようだった。

 小野寺と出雲がやり取りしている間に、テレビ画面の中もようやく落ち着いたようだった。九十九の発言によってどよめきが起きたスタジオだったが、藤木がペナルティーを武器にして鎮圧。ようやく主導権が藤木の元へと戻ったところだった。

『もう少し、今の心境などをお聞きしようと思ったのですが、下手な発言をされて進行を妨げられたら堪ったものではありません。さっさと次の再現映像に行きましょか』

 再現映像の間に、ちょっとばかりトークタイムのようなものを挟みたかったのかもしれない。それなのに九十九が不本意な発言をしてしまい、トークタイムは台無し。藤木はさっさと再現映像を流すことにしたようだ。

「だったらケンさん。この第3問目も解決しましょう。刑事としてのプライドをかけて」

 どうしてこんなところに軟禁されているのかは、いまだにさっぱり分からない。誰が何のためにこんなことをして、何のために奇妙なクイズ番組を観せているのか。

 もはや小野寺達には、番組を観て事件の謎を解くくらいしかやることがなかった。いいや、それがせめてもの刑事としての意地だった。

「お前も今のところパーフェクトだしな」

 画面に映った九十九と小野寺の間に視線を往復させると、かすかに笑みを浮かべる出雲。その言葉に頷くと、小野寺は改めてソファーに深く座り直す。

 ――画面が切り替わり、またしても再現映像が流れ始めた。
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