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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【出題編】

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 画面が切り替わり、明らかに【丙】より歳が上であろう女性が姿を現す。特にポーズを決めるわけでもなく、じっとカメラのほうを見つめているだけだが、それだけでも絵になるような美人だった。ややつり上がったキツネのような目がマイナスポイントなのかもしれない。

 ――才色兼備の権化【乙】。

 最初は【丙】で次は【乙】。となると、次に登場するのは【甲】ということになるだろう。案の定、小野寺の予感は的中した。ただ、その紹介のされ方は予想の斜め上であったが。

 まず、登場した場面からしておかしかった。これまで登場した【A】【B】【C】と【丙】【乙】には当たり前の共通点があった。しかし【甲】として紹介された人物は、その共通点を含んでいなかったのである。そう……生きているという共通点を。

 薄暗い部屋の一室。窓のカーテンが半分くらい開いており、光が少しばかり差し込んでいる。その部屋の天井からはロープが伸びており、そのロープに首をかける形で女性がぶら下がっていた。その表情にはまるで生気がない。演技をしているようには見えなかった。

 ――この事件で殺されてしまう哀れな【甲】。

 どうやら、今回の問題の犠牲者は【甲】であり、首を吊って絶命したようだ。いいや、これが殺人であり、犯人が存在するのであれば、首を吊ったように偽装された可能性が高い。もちろん、ここまでの情報で分かることは少なく、どのようにして【甲】が殺害されたのかは、全く想像もつかない。

 単なる登場人物紹介だとたかをくくっていただけに、ショッキングな内容に言葉を失ってしまった小野寺と出雲。ごまかすようにして、出雲は結局煙草に手を伸ばしてしまった。

 ――最後に【エキストラ】のみなさん。

 これまでは単体で人を紹介する形できたというのに、急に集合体が現れる。ホテルのフロントの前辺りで撮影したのであろう。ずらりと集まった人の中には、ホテルの従業員らしき格好をした人や、制服を着た高校生くらいの集団も見える。むろん、旅行客のような出立ちの人もおり、その種類は様々だ。ただ、その数の多さから、高校生くらいの集団が妙に目立った。何よりも、その集団の女子が着ていた制服に目が行った。

「あの、ケンさん。この制服って――西潟眠夢の着ている制服に似てると思いません?」

 同じ画面が映っている間に、画面を指差して自分の疑問を吐き出す小野寺。割りかし画面が引き気味のため、はっきりと断言することはできないのであるが、【エキストラ】の高校生らしき女子が着ている制服が、眠夢のものと同じように見える。
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