クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【出題編】

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 外がやや暗くなり始める頃に目が覚める。ずっと点いているにも関わらず、昼の間はその存在感を潜めている蛍光灯が、いよいよ真価を発揮する時間だ。

 ブラウン管には何も映らない。クイズ番組と緊急特番が終わってしまえば、単なるガラクタへと化す。何度か調べてはみたものの、相当古いテレビだということ以外は何も分からなかった。下手に弄って壊してしまうのも嫌だったから、調べるにも限界があったというのもあるのだが。

 目が覚めたら、まず真っ先にシャワーを浴びる。出雲いわく「風呂は1日1回でいい」とのことだが、小野寺は元よりそのような習慣であるし、何よりも濃縮された時間以外は、何もすることがない環境だ。シャワーの回数が増えたところで仕方がないのではないだろうか。

 小野寺がシャワーから出ると、今度は出雲がシャワーへと入る。着ていたスーツを脱ぎ、そして下着を脱ぎ、せっかくシャワーで汚れを洗い流したのに、また同じ下着を履いてスーツを着る。出雲もこの辺りに関しては面白くないらしく、一度は洗濯をすると言い出した。しかしながら、今着ているものを洗濯するということは、少なくともその洗濯ものが乾くまでは素っ裸でいなければならない。同じ部屋に、素っ裸のおっさんがいる。想像しただけでも嫌だったし、とんでもなく気まずい。小野寺の必死の説得に、出雲はなんとか洗濯を諦めてくれた。まだ、なりふりを構っていられない状態までには追い詰められてはいない。

 お互いにシャワーを浴びれば、後は自由時間だ。もっとも、1日の大半が自由時間のようなものなのだが。出雲は酒を引っ張り出してきて、それのあてになりそうなものを食糧庫から持ってくる。缶詰のようなものが多い気がする。小野寺も小野寺で、好きな食糧を持ってきて、それを口にする。まだ我慢できているが、カップラーメンやカップ焼きそばにも、いずれは飽きてしまうのであろう。

 夕食を終えると、出雲の話し相手になりながら眠くなるのを待つ。酒が入ってしまった出雲を相手に、現状の相談をしたところで、ろくな答えが返ってこないことを知っている小野寺は、適当に相槌を打ちながら、ぼんやりと考えごとをする。

 食糧に困らないのはありがたいが、食べれば食べるだけゴミが出る。煙草や酒だってそう。吸い殻も増える一方だし、瓶などの不燃物も出てくる。当然だが、ゴミの日なんて設けられていないうえに、男2人である。この部屋がゴミ屋敷と化すのは時間の問題であろう。
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