クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【出題編】

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 別にパーフェクトだったから、どうこうなるというわけでもあるまいに。なんとかして番組を盛り上げようとする藤木の姿は、少し見苦しいくらいだった。

「さぁ、これまで幾つもの物語が生まれました。果たして、解答者の方々がたどり着く先には、何が待っているのでしょうか?」

 物語――いやいや、死体である。こんな馬鹿げたクイズ番組のせいで、少なくともここに来なければ失われなかったはずの命が、もうふたつも失われている。そして、問題が進めば進むほど、失われる命は確実に増えていく。九十九達がたどり着く先は、きっと死体の山だ。一刻も早く、こんな馬鹿げたことをやめにしたいのだが、しかし主導権はあくまでも藤木――番組側が握っている。九十九達にできることは、その日に出されるクイズに過半数以上で正解して、過去に罪を犯した人間を排除することだけだ。

「おい、こんなのが後どれだけ続くんだ?」

 視聴者相手に番組を盛り上げようと必死の藤木の後ろ姿に、なかば野次の意味も込めて声を投げかける。藤木は振り返ると、真顔になって問うてきた。

「それは、番組がいつ終わるのか――ということですか? それを聞くのは無粋というもの。視聴者の方だって、終わりが先に見えてしまったら興を削いでしまうことでしょう。まぁ、まだまだ続く……とだけコメントしておきましょうか」

 これまでは、とにかく生き延びるためにやってきた。しかしながら、人間というものは非日常というものに弱い。日常からほんの少し離れただけで、いつもと違うだけでストレスを感じる生き物だ。ましてや、毎日決まった時間に、自分達の中に犯人がいるというクイズを出され、もし解答できなかったら殺される――というストレスを背負わねばならない。現状で精神的によろしくない兆候が出ているのは柚木だけであるが、この状態が長引けば長引くほど、ストレスは蓄積していく。ならばせめて終わりだけでも見えていれば……と思ったのだが、うまい具合にかわされてしまった。

「では、少々巻き気味で参ります。それでは第3問。今回の事件が起きたのは、奇天烈な構造をしているホテルです。果たして、解答者の皆さんは、この謎を暴くことができるのか。そして、犯人は誰なのか――いつものように再現映像から参りましょう」

 藤木の合図でモニターが降りてくる。それがもはや当たり前であるかのように。毎日のルーティーンに組み込まれているかのごとく。

 今日もまた、命懸けのクイズが始まろうとしていた。
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