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第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【出題編】
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九十九が黒幕ではないという絶対的な根拠。それは、司馬が殺害されたと思われる時間帯のアリバイだ。あの時の詳細は明かにされていないが、少なくとも同じ楽屋の中にいた九十九とアカリには絶対的なアリバイがある。例え数藤を殺害することはできても、九十九に司馬を殺害することはできない。
「って言うか、凛は大丈夫なの? このままで大丈夫なの?」
あくまでも推測ではあるが、一度は毒を飲んでいるであろう凛。それが推測であり、実際はどうなのか分からなくとも、やはり気味が悪いだろう。やや困惑したかのように、誰に問うでもなく周囲を見回す。
「多分、心配はいらねぇよ」
困惑した凛にスポットが当たるくらいには、事態が決着してしまっていた。長谷川がすっかりと黙り込んでしまったからだ。一時は自分に疑いの目を向けられ、どうなることかと思ったが、どうやらうまい具合に収束させることができたらしい。
「あの、このままの空気って良くないと思うし、今後のこともあるんで――。その、間違っていたなら間違っていたことを認めて、和解しておいたほうがいいと思うんだけど」
あえてそちらのほうへと視線をやっていないように見えたが、アカリの言葉は明らかに長谷川へと向けられていた。九十九のことを黒幕だと言い出し、急に敵対心をむき出しにしたのは長谷川だ。誰が黒幕なのか分からない――それが不安なのは分かるが、根拠もなく安易に黒幕を決めつけてしまうのはよろしくない。疑心暗鬼が蔓延するきっかけにもなるし、当然だがそれぞれの人間関係にもヒビが入ってしまう。長谷川と九十九の間に入ったヒビも、早い段階で修復しておくべきだ。
一度は疑ってしまった手前、簡単に頭を下げるというのは難しいのかもしれない。人間というのは面倒な生き物であって、意地とか見栄とか、余計なものを持ち合わせていたりする。みんなの前で吊し上げた人間が、実は黒幕でもなんでもなく、むしろその本人に論破されてしまったのだから、なかなか素直にはなれないだろう。だんまりを決め込んでいた長谷川であったが、しばらくすると「すまなかった……」と一言だけ漏らし、頭を下げた。
元より人との関わりが希薄な九十九は、このような時にどう返していいか分からない。どう返すべきか考えている間に、スタジオの扉が開いた。扉の向こう側には藤木と柚木の姿があり、柚木は藤木に腕を掴まれていた。みんなの意識がそちらに向いてしまったせいで、長谷川との和解が、うやむやな感じになってしまった。
「って言うか、凛は大丈夫なの? このままで大丈夫なの?」
あくまでも推測ではあるが、一度は毒を飲んでいるであろう凛。それが推測であり、実際はどうなのか分からなくとも、やはり気味が悪いだろう。やや困惑したかのように、誰に問うでもなく周囲を見回す。
「多分、心配はいらねぇよ」
困惑した凛にスポットが当たるくらいには、事態が決着してしまっていた。長谷川がすっかりと黙り込んでしまったからだ。一時は自分に疑いの目を向けられ、どうなることかと思ったが、どうやらうまい具合に収束させることができたらしい。
「あの、このままの空気って良くないと思うし、今後のこともあるんで――。その、間違っていたなら間違っていたことを認めて、和解しておいたほうがいいと思うんだけど」
あえてそちらのほうへと視線をやっていないように見えたが、アカリの言葉は明らかに長谷川へと向けられていた。九十九のことを黒幕だと言い出し、急に敵対心をむき出しにしたのは長谷川だ。誰が黒幕なのか分からない――それが不安なのは分かるが、根拠もなく安易に黒幕を決めつけてしまうのはよろしくない。疑心暗鬼が蔓延するきっかけにもなるし、当然だがそれぞれの人間関係にもヒビが入ってしまう。長谷川と九十九の間に入ったヒビも、早い段階で修復しておくべきだ。
一度は疑ってしまった手前、簡単に頭を下げるというのは難しいのかもしれない。人間というのは面倒な生き物であって、意地とか見栄とか、余計なものを持ち合わせていたりする。みんなの前で吊し上げた人間が、実は黒幕でもなんでもなく、むしろその本人に論破されてしまったのだから、なかなか素直にはなれないだろう。だんまりを決め込んでいた長谷川であったが、しばらくすると「すまなかった……」と一言だけ漏らし、頭を下げた。
元より人との関わりが希薄な九十九は、このような時にどう返していいか分からない。どう返すべきか考えている間に、スタジオの扉が開いた。扉の向こう側には藤木と柚木の姿があり、柚木は藤木に腕を掴まれていた。みんなの意識がそちらに向いてしまったせいで、長谷川との和解が、うやむやな感じになってしまった。
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