244 / 506
第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【出題編】
第3問 過去は明日と同じ夢を見るか【出題編】1
しおりを挟む
【1】
「さぁ、本日も時間通り10時から放送して参ります、クイズ 誰がやったのでSHOW! 引き続き司会進行をやらせていただきます、藤木流星でぇぇぇぇぇす!」
安っぽいBGMはかかっているものの、そもそも盛り上がりを見せているのが藤木だけであるため、逆にスタジオは静まり返っているし、うすら寒くすら感じてしまう。
司馬が降板し、数藤が降板し、そして今日も誰かが降板する。同時に卒業する人間も出てくるかもしれないが、誰かが確実に降板することは決定事項だった。
最初から理不尽極まりない番組。それなのに、時間になるとアナウンスの指示に従い、スタジオに素直にやってくる辺りは、日本人の性質とでも言おうか。いいや、楽屋に閉じこもっているだけでは得られる情報が皆無であるため、仕方なく出てきているのだろう。最初こそ、わけも分からないまま番組に放り込まれたから、そんな暇がなかったのであろうが、今日の一同には明らかに疲れが見えていた。それどころか――本来ならは2つのはずの空席が、なぜか3つある。
「それでは、早速――と言いたいところですが、伊良部さんがスタジオにいらっしゃていないようですねぇ。これでは問題を出すことができません。ちょっと失礼をしまして、伊良部さんを呼んで来ようと思います」
カメラに向かって……それでいて、九十九達にも向けて呟いたように見えた藤木。カメラを三脚で固定すると、そのままスタジオを出て行ってしまった。
その後に訪れるは静寂。その静寂の中、ぽつりと凛が呟いた。
「柚木ッチ、司馬さんに続いて数藤のおっさんも死んじゃったから、大分参ってたみたいだね――」
柚木は第2問目の解答にて、誰かを疑うということ事態を嫌ったのか、フリップに【犯人なんていない】という旨のことを書いて無効票扱いになっている。あの時点で相当参っていたのであろうが、とうとうスタジオにも出てこれなくなってしまったらしい。
「あれだけのことがあって、参っていない人間なんていないでしょうよ」
アカリが小さく溜め息を漏らし、そこに便乗するかのごとく長谷川が漏らした。しかも、実に嫌味ったらしくだ。
「まぁ、俺達の中に人殺しが混じってるんだから無理もないだろう。それも、過去に――という問題じゃなくて、司馬と数藤を……そして、これから降板となるであろう人間を、リアルタイムで殺し回ることになる黒幕がな。なぁ、そう思わないか?」
解答席から身を乗り出した長谷川の視線は、九十九のほうへと一直線に向いていた。こうなることは、ある程度予測はできていたが、あえて言ってみる。
「まるで俺が黒幕だと言いたいみたいだな」
「さぁ、本日も時間通り10時から放送して参ります、クイズ 誰がやったのでSHOW! 引き続き司会進行をやらせていただきます、藤木流星でぇぇぇぇぇす!」
安っぽいBGMはかかっているものの、そもそも盛り上がりを見せているのが藤木だけであるため、逆にスタジオは静まり返っているし、うすら寒くすら感じてしまう。
司馬が降板し、数藤が降板し、そして今日も誰かが降板する。同時に卒業する人間も出てくるかもしれないが、誰かが確実に降板することは決定事項だった。
最初から理不尽極まりない番組。それなのに、時間になるとアナウンスの指示に従い、スタジオに素直にやってくる辺りは、日本人の性質とでも言おうか。いいや、楽屋に閉じこもっているだけでは得られる情報が皆無であるため、仕方なく出てきているのだろう。最初こそ、わけも分からないまま番組に放り込まれたから、そんな暇がなかったのであろうが、今日の一同には明らかに疲れが見えていた。それどころか――本来ならは2つのはずの空席が、なぜか3つある。
「それでは、早速――と言いたいところですが、伊良部さんがスタジオにいらっしゃていないようですねぇ。これでは問題を出すことができません。ちょっと失礼をしまして、伊良部さんを呼んで来ようと思います」
カメラに向かって……それでいて、九十九達にも向けて呟いたように見えた藤木。カメラを三脚で固定すると、そのままスタジオを出て行ってしまった。
その後に訪れるは静寂。その静寂の中、ぽつりと凛が呟いた。
「柚木ッチ、司馬さんに続いて数藤のおっさんも死んじゃったから、大分参ってたみたいだね――」
柚木は第2問目の解答にて、誰かを疑うということ事態を嫌ったのか、フリップに【犯人なんていない】という旨のことを書いて無効票扱いになっている。あの時点で相当参っていたのであろうが、とうとうスタジオにも出てこれなくなってしまったらしい。
「あれだけのことがあって、参っていない人間なんていないでしょうよ」
アカリが小さく溜め息を漏らし、そこに便乗するかのごとく長谷川が漏らした。しかも、実に嫌味ったらしくだ。
「まぁ、俺達の中に人殺しが混じってるんだから無理もないだろう。それも、過去に――という問題じゃなくて、司馬と数藤を……そして、これから降板となるであろう人間を、リアルタイムで殺し回ることになる黒幕がな。なぁ、そう思わないか?」
解答席から身を乗り出した長谷川の視線は、九十九のほうへと一直線に向いていた。こうなることは、ある程度予測はできていたが、あえて言ってみる。
「まるで俺が黒幕だと言いたいみたいだな」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
181
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる