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第2問 虚無の石櫃【エピローグ】
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「前例を見ただろ? この番組においての降板は死を意味する。そして、司馬という男が殺害されたと思われるのはこの直後――楽屋への出入りができなくなってからだ。一体誰が、どんな方法を用いて彼の楽屋に入り、彼を殺害したのかは分からない。しかしながら、明確に分かっていることがひとつだけある。それは――かなりの確率で彼は1人だったということだ。物理的にも、心理的にもね」
数藤はそう言うと、今度はポケットから包みを取り出した。
「これも番組側からの差し入れだよ。中身はナッツなのだが――食べるかね? 私は昔からナッツというものが嫌いでね。シャンパンのお供としては悪いチョイスではないが」
ポケットから取り出した包みを開く数藤。小袋に分けられたナッツが入っていた。首を横に振って、いらないという素振りを見せると、数藤はナッツの小袋をテーブルの上においた。ただでさえ当面の食料を広げているテーブルに、そんなものは置いて欲しくない。後でゴミ箱へと直行であろう。おそらく、共にゴミ箱へとぶち込むことになるであろう、おにぎりへと視線をやってから溜め息を落とした。目覚めた時から用意されていたおにぎり。数藤がもらったシャンパンやナッツもそうであるが、よく疑いもせず口にすることができるものだ。まぁ、数藤はやや自暴自棄になっていて、判断が雑になっているような印象もあるのだが。
「話を戻そう。司馬は最初の犯人役。楽屋は番組終了から15分後にロックがかかるから、物理的に司馬が1人だった可能性は高い。さらに、自分の罪が露呈されてしまったことにより、心理的にも孤独になっていただろう。今のおっさんみたいに、降板が死とイコールで直結することも知らなかっただろうし、誰かに助けを求めようとしなくて当然。むしろ、自分の犯罪をぶちまけられておきながら、それをぶちまけた張本人と手を組もうなんざ厚顔無恥もはなはだしい。おっさん、あんた大した奴だよ」
自らの罪を暴かれた司馬は、自分の楽屋へと戻り、誰かに助けを求めることなく降板の時を迎えた。なんとなく不穏なものを感じてはいたが、まさか降板が死を意味するだなんて、死ぬ瞬間まで思っていなかったことだろう。それに比べると、数藤はまだマシなのかもしれない。
「もう私が何を言いたいか分かっているようだねぇ?」
数藤が気味の悪い笑みを浮かべる。
「要するに、楽屋にロックがかけられた以降も、この楽屋に居座らせろ――ってことだろ? そうすりゃ、少なくとも1人でいるよりかは安全だ」
数藤はそう言うと、今度はポケットから包みを取り出した。
「これも番組側からの差し入れだよ。中身はナッツなのだが――食べるかね? 私は昔からナッツというものが嫌いでね。シャンパンのお供としては悪いチョイスではないが」
ポケットから取り出した包みを開く数藤。小袋に分けられたナッツが入っていた。首を横に振って、いらないという素振りを見せると、数藤はナッツの小袋をテーブルの上においた。ただでさえ当面の食料を広げているテーブルに、そんなものは置いて欲しくない。後でゴミ箱へと直行であろう。おそらく、共にゴミ箱へとぶち込むことになるであろう、おにぎりへと視線をやってから溜め息を落とした。目覚めた時から用意されていたおにぎり。数藤がもらったシャンパンやナッツもそうであるが、よく疑いもせず口にすることができるものだ。まぁ、数藤はやや自暴自棄になっていて、判断が雑になっているような印象もあるのだが。
「話を戻そう。司馬は最初の犯人役。楽屋は番組終了から15分後にロックがかかるから、物理的に司馬が1人だった可能性は高い。さらに、自分の罪が露呈されてしまったことにより、心理的にも孤独になっていただろう。今のおっさんみたいに、降板が死とイコールで直結することも知らなかっただろうし、誰かに助けを求めようとしなくて当然。むしろ、自分の犯罪をぶちまけられておきながら、それをぶちまけた張本人と手を組もうなんざ厚顔無恥もはなはだしい。おっさん、あんた大した奴だよ」
自らの罪を暴かれた司馬は、自分の楽屋へと戻り、誰かに助けを求めることなく降板の時を迎えた。なんとなく不穏なものを感じてはいたが、まさか降板が死を意味するだなんて、死ぬ瞬間まで思っていなかったことだろう。それに比べると、数藤はまだマシなのかもしれない。
「もう私が何を言いたいか分かっているようだねぇ?」
数藤が気味の悪い笑みを浮かべる。
「要するに、楽屋にロックがかけられた以降も、この楽屋に居座らせろ――ってことだろ? そうすりゃ、少なくとも1人でいるよりかは安全だ」
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