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第2問 虚無の石櫃【エピローグ】
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こんな状況であるにも関わらず、勝っただの負けただのと気にする辺り、どれだけプライドが高いのだろうか。ただ、負けてしまったわりに数藤本人は機嫌が良いようだ。
「それで――何の用だ? まぁ、聞かずとも、なんとなく分かるけどな」
九十九がそう言うと、数藤はポケットの中へと手を突っ込む。何を取り出すのかと思ったら、それは小切手だった。そう、しわくちゃになってしまった小切手。
「ならば話は早い。これをくれてやるから私に力を貸せ――という話をしに来たんだ」
しわくちゃになってしまった小切手を差し出してくる数藤。これがいずれは1千万円と同じ価値となるのだろうが、現状においては単なる紙切れにすぎない。数藤がぞんざいな扱いをする気持ちも分からなくはない。九十九が受け取らずにいると、数藤は小切手をテーブルの上へと放り投げた。
「人にものを頼む態度じゃねぇな。それと――それはどうしたんだよ?」
シャンパンのコルクに指をかける数藤の動きを目で追う。ポンと音がすると、炭酸の弾ける音がかすかに辺りに漏れ出した。
「降板に対する手向けみたいなものなんだろうなぁ。楽屋に戻ったら番組側の差し入れということで置いてあってねぇ。飲むかね?」
九十九の返事など待たずに、2つあるグラスにシャンパンを注ぐ数藤。この時点で九十九の頭の中にはいくつかの疑問が湧き上がっていた。
藤木は番組に影響するからという理由で、九十九が希望した酒の支給を突っぱねた。それなのに、差し入れだかなんだか知らないが、数藤にはシャンパンが振る舞われている。もう、数藤は番組に出ることがないから特別扱いなのであろうか。そもそも、どうして番組側は数藤に差し入れなんてしたのか。
「それ、よく平気で飲もうと思えるな。番組側が用意したもんだろ?」
手向けだろうがなんだろうが、番組側からの差し入れなんてよく飲めるものである。しかも、数藤は降板が決定している人間。つまり、いつ殺されてもおかしくないわけであり、シャンパンに毒が入っていても不思議ではない。
「これを見てみろ。1983年製のドン・ペリニョンだ。時価で――ざっと100万ほどの価値がある。これに毒を入れるなんて馬鹿げた真似をする人間がいるかね?」
クイズに正解したら正解者に1千万円を与えるような番組なのだ。どれだけ高級酒であったとしても、そこに毒を入れることくらい容易いだろうに。
グラスに注いだシャンパンの香りを楽しんだのち、一気にグラスのシャンパンを飲み干す数藤。九十九が止める間もなく、ほんの一瞬のできごとであった。
「それで――何の用だ? まぁ、聞かずとも、なんとなく分かるけどな」
九十九がそう言うと、数藤はポケットの中へと手を突っ込む。何を取り出すのかと思ったら、それは小切手だった。そう、しわくちゃになってしまった小切手。
「ならば話は早い。これをくれてやるから私に力を貸せ――という話をしに来たんだ」
しわくちゃになってしまった小切手を差し出してくる数藤。これがいずれは1千万円と同じ価値となるのだろうが、現状においては単なる紙切れにすぎない。数藤がぞんざいな扱いをする気持ちも分からなくはない。九十九が受け取らずにいると、数藤は小切手をテーブルの上へと放り投げた。
「人にものを頼む態度じゃねぇな。それと――それはどうしたんだよ?」
シャンパンのコルクに指をかける数藤の動きを目で追う。ポンと音がすると、炭酸の弾ける音がかすかに辺りに漏れ出した。
「降板に対する手向けみたいなものなんだろうなぁ。楽屋に戻ったら番組側の差し入れということで置いてあってねぇ。飲むかね?」
九十九の返事など待たずに、2つあるグラスにシャンパンを注ぐ数藤。この時点で九十九の頭の中にはいくつかの疑問が湧き上がっていた。
藤木は番組に影響するからという理由で、九十九が希望した酒の支給を突っぱねた。それなのに、差し入れだかなんだか知らないが、数藤にはシャンパンが振る舞われている。もう、数藤は番組に出ることがないから特別扱いなのであろうか。そもそも、どうして番組側は数藤に差し入れなんてしたのか。
「それ、よく平気で飲もうと思えるな。番組側が用意したもんだろ?」
手向けだろうがなんだろうが、番組側からの差し入れなんてよく飲めるものである。しかも、数藤は降板が決定している人間。つまり、いつ殺されてもおかしくないわけであり、シャンパンに毒が入っていても不思議ではない。
「これを見てみろ。1983年製のドン・ペリニョンだ。時価で――ざっと100万ほどの価値がある。これに毒を入れるなんて馬鹿げた真似をする人間がいるかね?」
クイズに正解したら正解者に1千万円を与えるような番組なのだ。どれだけ高級酒であったとしても、そこに毒を入れることくらい容易いだろうに。
グラスに注いだシャンパンの香りを楽しんだのち、一気にグラスのシャンパンを飲み干す数藤。九十九が止める間もなく、ほんの一瞬のできごとであった。
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