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第2問 虚無の石櫃【解答編】
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「さすがに、こうも目の前で見せつけられると信じたくなるだろ? あんたの演技も中々のもんだったぜ」
あぁ、はめられた。完全に九十九にしてやられたのである。解答者の様子から察するに、おそらく他の奴らとも打ち合わせ済みだったのであろう。
「さて――簡単な算数の問題だ。あんたが木戸だと思い込んでいた人間と、西潟だと思い込んでいた人間が入れ替わっていたとすると、解答の中身も少し変わってくると思うんだよなぁ。あんたのおめでたい頭の中じゃ、間違いなく俺に票が集まっていたんだろうがよ」
全部――全部、この男の思うがまま。おそらく、この仕掛けの主たる目的は、アカリと眠夢が入れ替わったことに気づかない姿を他の解答者に見せ、数藤が相貌失認症であるという事実を証拠として解答者へと提示するため。これまでの情報の中にもそれを示唆するものはあったが、しかし状況的なものがほとんどだった。それを物的な証拠として提示するために、全員で一芝居を打ったのだ。
「第2問目は、ペナルティーなどの理由で解答が無効になった人間が2人いた。1人は俺の楽屋にいたという理由でペナルティーを受けた木戸。もう1人は、フリップに誰の名前も書かなかった伊良部だ。この2人の答えは無効票として扱われる。じゃあ、残りの5人は誰の名前をフリップに書いたのか――」
数藤の頭の中では、1票差の僅差ではあるが九十九への票が多かった。しかし――現実はそうではなかったということなのだ。数藤からすれば眠夢に見えていた人物がフリップに書いたのは九十九の名前。しかし、眠夢に見えていた人物は実のところアカリであった。すなわち、九十九へ入ったとばかり思っていた票は、実のところ無効票になっていた。その代わり、アカリだとばかり思っていた人物が出したフリップに書かれていたのは数藤の名前。こちらのほうは、実のところ眠夢だったわけだから票が生きている。
実際、無効票になったのは、答えに【犯人はいない】と書いた柚木の解答と、ペナルティーとして解答権を失っていたアカリの、九十九への1票だった。では、他の人間は誰に票を入れていたか。
九十九は数藤の名前を答えとした。凛も数藤の名前を書いた。そして、アカリに扮していた眠夢もまた、数藤の名前を答えとした。そして、数藤自身が九十九の名前を書き、後になってから長谷川が答えを九十九にした。
「貴様ぁぁぁぁぁぁ。ふざけた真似を」
自然と声を絞り出すようにして本心が口から漏れ出した。追い詰められたがゆえに自然と出たものだった。
あぁ、はめられた。完全に九十九にしてやられたのである。解答者の様子から察するに、おそらく他の奴らとも打ち合わせ済みだったのであろう。
「さて――簡単な算数の問題だ。あんたが木戸だと思い込んでいた人間と、西潟だと思い込んでいた人間が入れ替わっていたとすると、解答の中身も少し変わってくると思うんだよなぁ。あんたのおめでたい頭の中じゃ、間違いなく俺に票が集まっていたんだろうがよ」
全部――全部、この男の思うがまま。おそらく、この仕掛けの主たる目的は、アカリと眠夢が入れ替わったことに気づかない姿を他の解答者に見せ、数藤が相貌失認症であるという事実を証拠として解答者へと提示するため。これまでの情報の中にもそれを示唆するものはあったが、しかし状況的なものがほとんどだった。それを物的な証拠として提示するために、全員で一芝居を打ったのだ。
「第2問目は、ペナルティーなどの理由で解答が無効になった人間が2人いた。1人は俺の楽屋にいたという理由でペナルティーを受けた木戸。もう1人は、フリップに誰の名前も書かなかった伊良部だ。この2人の答えは無効票として扱われる。じゃあ、残りの5人は誰の名前をフリップに書いたのか――」
数藤の頭の中では、1票差の僅差ではあるが九十九への票が多かった。しかし――現実はそうではなかったということなのだ。数藤からすれば眠夢に見えていた人物がフリップに書いたのは九十九の名前。しかし、眠夢に見えていた人物は実のところアカリであった。すなわち、九十九へ入ったとばかり思っていた票は、実のところ無効票になっていた。その代わり、アカリだとばかり思っていた人物が出したフリップに書かれていたのは数藤の名前。こちらのほうは、実のところ眠夢だったわけだから票が生きている。
実際、無効票になったのは、答えに【犯人はいない】と書いた柚木の解答と、ペナルティーとして解答権を失っていたアカリの、九十九への1票だった。では、他の人間は誰に票を入れていたか。
九十九は数藤の名前を答えとした。凛も数藤の名前を書いた。そして、アカリに扮していた眠夢もまた、数藤の名前を答えとした。そして、数藤自身が九十九の名前を書き、後になってから長谷川が答えを九十九にした。
「貴様ぁぁぁぁぁぁ。ふざけた真似を」
自然と声を絞り出すようにして本心が口から漏れ出した。追い詰められたがゆえに自然と出たものだった。
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