クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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第2問 虚無の石櫃【解答編】

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 九十九の言葉に、アカリと眠夢のほうへと視線をやる。そして思わず「はぁ?」との間抜けな声が漏れた。

 制服姿のほうがアカリで、ややだらしのないOLの格好をしているほうが眠夢――普段から人を判断する際は姿格好で判断することの多い数藤。特にここに集められた人間は、基本的に着替えることはない。常に同じ格好であるから、自然とそれで判別するようになってしまっていたが……それに頼りすぎてしまったということなのか。

「だーかーらぁ、お前が木戸だと思い込んでいたほうが西潟で、西潟だと思い込んでいたほうが木戸なんだよ。くくくっ、それにしても傑作だったなぁ。そこまで西潟に寄せようとしなくても良かったのによ」

 眠夢の格好をしたアカリのほうに向かって言う九十九。眠夢の仕草に対して、九十九が苦笑いのようなものを浮かべたように見えたのは気のせいではなかったのであろう。

 改めて見てると、眠夢とアカリは背格好がほとんど同じである。アカリは髪の毛を後ろで結え、眠夢は結えていなかったが、よくよく考えれば髪の長さも同じくらいだ。眠夢が髪を結え、そしてアカリが髪の毛をおろしても、その違いに違和感を覚えることはなかったであろう。

「あのさ、これでも一生懸命に彼女を演じようとしたんだけど……。こんな短いスカート、久しぶりに履いたし」

 もう隠す必要はないからなのか、眠夢の格好をしたアカリがスカートに手を当てながら呟き落とす。アカリが口を開いたからか、今度はOLの格好をした眠夢が口を開く。

「あのぉ、私ってあんな喋り方してますぅ?」

 何人かが無言で頷いた。そんなことは――そんなことはどうでもいい。残念ながら、今の数藤には彼女達の区別がつかない。格好だけで区別しているがゆえに、本当にアカリと眠夢が入れ替わっているのかも判別することができない。けれども、九十九の言う通りアカリと眠夢が入れ替わっていたとすれば、数藤は様々な意味で大打撃を受けることになる。

 まず単純に、晒してしまったことになる。自分が相貌失認症であることを、この公の場で。なんせ、休憩時間が終わってから、九十九に指摘されるまで、アカリと眠夢が入れ替わっていたことに気づかなかったのだ。この事実こそ、数藤が相貌失認症である決定的な証拠となるのではないだろうか。あぁ、あの冒頭の自己紹介は確認作業だったのだ。数藤が入れ替わりに気づいていないことを確認するためのもの。

「それにしても、本当に彼女達が入れ替わったことに気づいていなかったんだなぁ。わざわざ全員が自己紹介までしたのに。まぁ、そのおかげで打ち合わせ通りにやることができたが」

 そう漏らしたのは、解答席の位置から察するに長谷川である。彼は途中で解答を九十九に変更したわけだが、それすらも打ち合わせ通りだったということか。
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