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第2問 虚無の石櫃【解答編】
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「同調ゲームに使われたプレート写真は、なぜか卒業アルバムのものばかりだった。そして同調ゲームの練習問題――【この中で一番可愛いと思う女性は誰?】という問題に対して、犯人はたった1人だけ、その意図から大いに外れた答えを出した。あろうことか、女じゃなくて男である俺のプレートを掲げてくれたんだよ。本人は冗談だと言っていたが、あれ……本人は大真面目に答えたつもりだったんだ。あてが外れただけでな」
――あれは仕方がなかったのだ。消去法でプレートを選んだ結果、出したのが九十九のプレートだっただけであり、運が悪かったとしかいえない。確率的に考えれば、女性のプレートを掲げる確率のほうが高かったというのに。
「練習問題を終えて、番組の盛り上がりを心配したのか――それとも犯人の情報を引き出すためなのか、藤木はこんな提案をしてきた。俺、西潟、桃山、木戸のプレートは、本番で使わないようにしようってな。実はこの提案、犯人からすればかなり困った事態に陥ってしまう提案だったんだよ」
もう、ここまで見抜かれているのであれば、反論の余地はない。何が悪いかといえば、九十九という男のことを見くびっていたことであろう。そんな男の独壇場は続く。
「さて、本番の問題は【この中でムカつく奴は誰?】というものだった。これまでの流れを考えるのであれば、誰だって数藤のプレートを掲げることだろう。だが、犯人は数藤のプレートではなく、この面子の中でも引っ込み思案で大人しい伊良部のプレートを出したんだ。そもそもゲームに付き合う気がない――なんてごまかしていたが、これもまた苦し紛れに犯人が見つけた着地点だったんだよ。流れとしてはおかしいが、しかし質問の答えとしては間違っていない。犯人からすれば、ここは出すことが禁止されていた俺、西潟、桃山、木戸のプレートさえ出さなきゃ良かったんだ」
視聴者を代表して問うべきだと思ったのであろう。藤木が「ですが、たかだかプレートを選ぶだけなのに、なぜ犯人はそこまで苦戦したのでしょう?」と九十九に問うた。それに対して九十九はゆっくりとカメラのほうへと視線をやると、わざとこちらを挑発するかのごとく、横目で数藤のほうをちらりと見てから言い放ったのだった。
――決定的な事実を。
「それは、犯人が相貌失認症と呼ばれる脳の障害を持っていたからだよ。簡単に言ってしまうと、犯人は人の顔を見ても誰が誰だか区別がつかねぇんだ。再現映像の犯人みたいに、誰の顔を見ても猿にしか見えねぇんだろうなぁ」
――あれは仕方がなかったのだ。消去法でプレートを選んだ結果、出したのが九十九のプレートだっただけであり、運が悪かったとしかいえない。確率的に考えれば、女性のプレートを掲げる確率のほうが高かったというのに。
「練習問題を終えて、番組の盛り上がりを心配したのか――それとも犯人の情報を引き出すためなのか、藤木はこんな提案をしてきた。俺、西潟、桃山、木戸のプレートは、本番で使わないようにしようってな。実はこの提案、犯人からすればかなり困った事態に陥ってしまう提案だったんだよ」
もう、ここまで見抜かれているのであれば、反論の余地はない。何が悪いかといえば、九十九という男のことを見くびっていたことであろう。そんな男の独壇場は続く。
「さて、本番の問題は【この中でムカつく奴は誰?】というものだった。これまでの流れを考えるのであれば、誰だって数藤のプレートを掲げることだろう。だが、犯人は数藤のプレートではなく、この面子の中でも引っ込み思案で大人しい伊良部のプレートを出したんだ。そもそもゲームに付き合う気がない――なんてごまかしていたが、これもまた苦し紛れに犯人が見つけた着地点だったんだよ。流れとしてはおかしいが、しかし質問の答えとしては間違っていない。犯人からすれば、ここは出すことが禁止されていた俺、西潟、桃山、木戸のプレートさえ出さなきゃ良かったんだ」
視聴者を代表して問うべきだと思ったのであろう。藤木が「ですが、たかだかプレートを選ぶだけなのに、なぜ犯人はそこまで苦戦したのでしょう?」と九十九に問うた。それに対して九十九はゆっくりとカメラのほうへと視線をやると、わざとこちらを挑発するかのごとく、横目で数藤のほうをちらりと見てから言い放ったのだった。
――決定的な事実を。
「それは、犯人が相貌失認症と呼ばれる脳の障害を持っていたからだよ。簡単に言ってしまうと、犯人は人の顔を見ても誰が誰だか区別がつかねぇんだ。再現映像の犯人みたいに、誰の顔を見ても猿にしか見えねぇんだろうなぁ」
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