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第2問 虚無の石櫃【出題編】

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 一体、誰に向かってコマーシャルを流すのか。そもそも、こんな非人道的な番組のスポンサーをやりたがる企業などないだろう。まぁ、ここは藤木のごっこ遊びに付き合ってやるしかない。それに付随して、解答前の休憩があるわけだし。

「さて、それでは私はしばし休ませていただきますよ。やはり、全力で番組を回すとなると、どこかで必ず休息を入れなければならないようですね。皆さんもスタジオから外に出ない範囲で、適当に休んでいてください。では、またのちほど――」

 よそ行きの顔をやめた途端、さっきまでのテンションが嘘だったかのように冷める藤木。この番組の存在自体が不気味ではあるが、藤木のスイッチのオンオフのギャップ差にも、ぞっとするものがあった。

 とにかく、第1問目と同じように休憩時間へと突入。前回はここでも議論をしたわけであるが、今回は事情が事情であるため、九十九は静かに立ち上がる。

「今後のことについては、個別に相談させてもらいたい。ちょっと、俺はやりたいことがあるから、席を外させてもらうぜ」

 九十九はそう言って解答席を立った。そのままトイレのほうへと向かう。犯人はおそらく、こちらの様子を伺っているはずだ。できる限り、誰と接触しているのか観察されたくない。ならば、いっそのこと手当たり次第に声をかけるという手段をとったほうがいいのかもしれない。

 九十九が席を立ったことで、自然と休憩の流れとなる。番組側が用意したお茶などはあるものの、やはり司馬の死を見てしまった後だからなのか。誰も手をつけようとしなかった。

 ただ、トイレという生理現象はどうにもならない。番組中に席を立とうと思えば、いくらでも席を立てるような気もするのであるが、そのあたりは良くも悪くも日本人というか――休憩中に済ませておこうと考えるのであろう。ぽつりぽつりと他の人間がトイレのほうへとやってくる。女性陣は例外なく4人とも、男性陣は長谷川がトイレに立ったのを見て、数藤も重たそうな腰をあげた。

 女性陣が女性用トイレへと連れ立って入り、それにやや遅れる形で、長谷川と数藤が男性用トイレに入る。九十九はそれを見守る形で観測する。そして、女性用トイレからアカリが出てきたタイミングで動いた。

「おい……」

 アカリに続いて眠夢が出てくる。なんともグッドタイミングであった。声をかけると、アカリは「――なに?」と、やや警戒したような表情を見せた。女というのは中々に鋭い。きっと本能的に彼女が感じたものは、気のせいではないのであろう。

「単刀直入に言う。今から服を脱げ」

 ある程度の斜め上からの発言は覚悟していたのであろうが、おそらく彼女の予測を軽く上回ったのであろう。

「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ?」

 アカリの驚いたかのような声が、スタジオには良く響いたのであった。

 ――第2問目の解答時間が迫っている。
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