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第2問 虚無の石櫃【出題編】

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 ――寝坊教授のインタビュー。

 これで登場人物は全てインタビューを受けたことになるだろうか。人によってインタビューの内容は様々であるし、統一性があるかといえばそうでもない。果たして、このインタビューの中に真相に迫るヒントが本当に隠されているのか。

 ――教授は普段からシャツを着ていないんですか?

 研究室の映像が映った際は、犯人も含めてゼミのシャツを着ていた。人数的に考えても、あの中に寝坊教授が含まれていた可能性は高く、だから彼もシャツを着ているものだと思ったのであるが。

『気まぐれで着ることもあるが、普段はほとんどこの格好だね。ゼミ生くらいの年齢ならば問題ないのかもしれないが、私くらいの年齢になって、さすがにあの格好で外に出るというのは――』

 確かに、あのシャツで外に出るのはいささか勇気がいるだろう。しかし、ゼミに集まる際、ゼミ生にシャツの着用をお願いしていたはずだし、ならば言い出した人間が率先してシャツを着るべきだ。

 ――でも、山男さんも、結構いい歳ですよ。

 質問の方向性が多少ずれてしまうのは仕方がないのだろう。その質問に対して、寝坊教授は声をやや荒げた。合成音声ということもあり、随分とぶっきらぼうな言い方に聞こえる。

『私と彼とでは立場がまるで違うんだよ。大体、その質問の答えに何の意味が――』

 質問の内容に対して不満を抱いていたのであろう。くどくどと寝坊教授が言葉を並べたてる始めると、そこから逃げるようにして画面が暗転した。

 結局のところ、残ったパネルが邪魔になる場面など一度もなく、淡々とインタビューの映像が流れただけだった。

 画面がスタジオに戻り、そして藤木が手を叩く。

『はい! これで再現映像は以上となります。それでは、そろそろ参りましょうか――』

 藤木が解答席のほうを見回すと、安っぽいジングルが鳴った。

『それでは問題です! 牧野さんを【虚無の石櫃】にて殺害した犯人は、山田さん、山男さん、地味子さん、1号さん、2号さん、寝坊教授のうち、一体誰なのでしょう? また、7人の解答者の中の誰なのでしょうか? これよりシンキングタイムとなります。解答者の皆さんは、お手元のフリップに答えをどうぞ!』

 藤木が進行し、そしてシンキングタイムに突入。果たして誰がどんな方法で牧村を殺害したのか。そして、牧村を殺害したのは誰なのか。静かに、第2問目の最終ジャッジが始まろうとしていた。そして小野寺は、ぽつりと呟いたのであった。

「ケンさん。犯人が分かったかもしれません――」
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