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第2問 虚無の石櫃【出題編】
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この中でヘイトを集めているのは、まず数藤で間違いない。さすがの数藤だって、自分が周囲から快く思われていないことくらい気づいているだろう。藤木が誰のプレートを出すのかは分からないが、もし仮に数藤が素直にプレートを出すのであれば、7枚のプレートは一致するはず。また数藤がヘソを曲げたとしても、最低で6枚のパネルは開けることができるだろう。お題の内容も分かりやすく、また同調をしやすい内容。九十九が出したお題のおかげで、結構な数のパネルが開くと思われる。
『それでは――私はこれにしましょう』
どうやら藤木もプレートを決定したようだ。すでに解答者はどのプレートを出すのか決めていたようだし、後は藤木が音頭を取ればいいだけだ。
『では、皆さんもよろしいですかね? 私の合図で一斉にプレートをかかげましょう。皆さんが出したプレートの中で、もっとも一致した枚数が多かったプレートの分、パネルがオープンします。それでは行きますよ。せーの、どうぞ!』
藤木の合図で一斉にプレートがかかげられる。やはり九十九という立役者の存在は大きかった。お題を出した張本人である九十九は当然ながら数藤のプレートを出した。数藤のプレートも卒業写真ではあるが、髪型から眼鏡から雰囲気にいたるまで、ほとんど変化がなかった。何枚もの数藤のプレートがかかげられ、嫌でも目に入ってしまう。アカリも数藤のプレート、長谷川も数藤のプレート、眠夢も数藤のプレート、柚木も数藤のプレート、凛も数藤のプレート、そして藤木も……なんと数藤のプレートを出した。では、当の数藤本人はどうか――そのかかげられたプレートを見て、思わず小野寺は「はぁ?」と声を出してしまった。数藤が出したプレートには、髪を後ろで束ねている柚木の卒業写真が貼り付けられていた。
『おっと、数藤さん。これはどういうつもりでしょうか?』
藤木が茶化すように問うが、しかし数藤は答えない。黙ったままプレートをかかげている。
『あ、あの。数藤さん。この場面でどのような意図があって、伊良部さんを選ばれたのでしょうか?』
数藤以外、全員が数藤のプレートをかかげているのに、なぜか数藤は柚木のプレートをかかげていた。この意図はどこにあるのか。
『ふん、だからこんな遊びに付き合うつもりはないと言っただろ?』
そう言ってプレートを下げた数藤。それに対して、藤木が小さく溜め息をもらす。
『いやいや、残念ですねぇ。皆さんが力を合わせる場面こそが絵になるのですが』
『それでは――私はこれにしましょう』
どうやら藤木もプレートを決定したようだ。すでに解答者はどのプレートを出すのか決めていたようだし、後は藤木が音頭を取ればいいだけだ。
『では、皆さんもよろしいですかね? 私の合図で一斉にプレートをかかげましょう。皆さんが出したプレートの中で、もっとも一致した枚数が多かったプレートの分、パネルがオープンします。それでは行きますよ。せーの、どうぞ!』
藤木の合図で一斉にプレートがかかげられる。やはり九十九という立役者の存在は大きかった。お題を出した張本人である九十九は当然ながら数藤のプレートを出した。数藤のプレートも卒業写真ではあるが、髪型から眼鏡から雰囲気にいたるまで、ほとんど変化がなかった。何枚もの数藤のプレートがかかげられ、嫌でも目に入ってしまう。アカリも数藤のプレート、長谷川も数藤のプレート、眠夢も数藤のプレート、柚木も数藤のプレート、凛も数藤のプレート、そして藤木も……なんと数藤のプレートを出した。では、当の数藤本人はどうか――そのかかげられたプレートを見て、思わず小野寺は「はぁ?」と声を出してしまった。数藤が出したプレートには、髪を後ろで束ねている柚木の卒業写真が貼り付けられていた。
『おっと、数藤さん。これはどういうつもりでしょうか?』
藤木が茶化すように問うが、しかし数藤は答えない。黙ったままプレートをかかげている。
『あ、あの。数藤さん。この場面でどのような意図があって、伊良部さんを選ばれたのでしょうか?』
数藤以外、全員が数藤のプレートをかかげているのに、なぜか数藤は柚木のプレートをかかげていた。この意図はどこにあるのか。
『ふん、だからこんな遊びに付き合うつもりはないと言っただろ?』
そう言ってプレートを下げた数藤。それに対して、藤木が小さく溜め息をもらす。
『いやいや、残念ですねぇ。皆さんが力を合わせる場面こそが絵になるのですが』
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