クイズ 誰がやったのでＳＨＯＷ

第２問 虚無の石櫃【出題編】

69

『あぁ？　なんで俺のせいになるんだ？』

　当然、九十九が藤木に噛み付いたのであるが、それよりも藤木は声を張り、無理矢理に九十九のクレームを振り払った。

『では、ちょっとサービスも兼ねた例題にしましょうかねぇ！　この中で一番可愛いと思う女性は誰？』

　この同調ゲームとやらは、単純に同じプレートを出した人数が多ければ多いほど、目隠しとなっているパネルが開き、再現映像を有利に確認することができる。では、どうしたら同じプレートを出す人数を確保できるのか。まずは、そもそもの選択肢を減らすというのも手段のひとつであろう。藤木の例題は、答えが女性へと絞られている。この時点で答えは４分の１に絞られているのだから、必然的に出すプレートがかぶる確率は高くなる。藤木からすれば、この例題の出し方は出血大サービスであろう。

『それでは、一斉にプレートをあげてください！』

　藤木の合図で一斉にプレートをかかげる一同。カメラが引き気味ではあるものの、辛うじて誰が誰のプレートを出したのかは分かる。長谷川、柚木、眠夢は凛のプレートをかかげている。アカリと凛は眠夢のプレートをかかげ、九十九は――アカリのプレートをかかげていた。ちらりとアカリが九十九のほうを見て、やや頬を赤らめたように見えたのは気のせいだろうか。

『思った通り、誰ともかぶらなかったなぁ』

　割りかし大きめの独り言を放った九十九。それを聞いたアカリが、大きく首を振ってソッポを向いた。まぁ、気持ちは分からなくない。

『えーっと、これはなんと言いますか、その、数学的ジョークなのでしょうか？　数藤さんがかかげてるの――九十九さんの写真ですよね？』

　藤木が数藤のかかげたプレートを見て、困ったように首を傾げる。数藤のかかげたプレートは、九十九の顔が写ったものだった。今のように銀髪ではないが、肩くらいまで髪があり、また目つきが非常に悪かった。もちろん、九十九は女性ではない。

『私はそんなお遊びに付き合うつもりはない――という意味だよ。こんなことをして何の意味がある？　はっきり言って時間の無駄だよ』

　相変わらず非協力的な立場を崩さない数藤。もう周囲はまるで相手にしていないから、今さら非協力的なことを言ったところで、きっと九十九達からすれば痛くもかゆくもない。彼のリアクションは想定内であろう。それは藤木とて同じようで、溜め息と一緒に軽く数藤をあしらった。

『どう感じるのかは人それぞれですが、数藤さんも解答者の１人です。数学的ジョークでもいいですから、何かしらのプレートを掲げるようにお願いします』