クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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第2問 虚無の石櫃【出題編】

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「もし、過半数以上に正解を出されたら降板。降板ってことは司馬と同じ末路を辿ることになるんだ。犯人が免許を持っていても、素直に申し出ることは絶対にないだろうなぁ」

 出雲の言葉に小野寺は頷いた。犯人を絞り込める要素はあるのに、しかしそのほとんどが自己申告制になってしまうため、どうしても情報が確実なものにならない。この辺りが解答者同士の駆け引きというものになるのだろうが、実際のところ平行線を辿るだけになることだろう。唯一の証拠である免許証は、きっと財布ごと番組側に取り上げられているに違いない。

 しばらく車が走り続ける映像が続く。街中を離れて、周囲の景色が郊外らしくなり、少しずつ寂しくなっていく。その寂しさを紛らわせるかのごとく、信号で車が停まったのを見計らったかのように、犯人の手がダッシュボードへと伸びた。ダッシュボードの中には、ぎっちりとCDケースが並んでいるようだった。

 犯人が手に取ったCDのジャケットが映り込む。昔から現在にいたるまで活躍しているバンドのCDのようだ。しかしながら、やはりジャケット写真には、首から上が猿になった人間が写っているだけ。格好をつけたポーズを取っているが、しかしメンバー全員の顔が猿であるがゆえに、なんだかシュールに見える。ケースからCDを取り出し、オーディオに入れると同時に信号が青になる。車が走り出すと、軽快でポップなメロディーが車内に響いた。

 車は途中で道をそれると、それなりの傾斜がある坂をのぼる。少しばかりのぼると、大きな建物らしきものが見えてきた。ついさっき通り過ぎてしまったが、道の脇に立っていた看板には【猿ばかり大学】という文字が確認できた。察するに犯人が向かったのは大学らしい。

 正門を抜け、キャンパスの脇へと車を走らせると、建物の裏手に駐車場が広がる。許可を得て駐車することができるのであろうが、駐車所の規模と停まっている車の数からして、かなりの数の学生や教員がいるようだ。

 エンジンを停めると、助手席に置いてあったリュックサックを手に車を降りる。どこへ向かっているのかは分からないが、駐車場を突っ切って建物の中へと入った。

 大学の中は広々としており、また随分と綺麗だった。まだ設立されて間もないのか、それとも掃除が行き届いているか。ただ、ひとつ気になることは、やはり行き交う人達が全て猿の顔をしているということだ。比較的人の通りがないところまでやってくると、ひっそりとした廊下を歩く。犯人の足音がえらく響いた。
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