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第2問 虚無の石櫃【出題編】
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藤木はカメラに向かって「しばしお待ちくださーい」と笑顔を向けると、司会者から裏方へとシフトチェンジ。さすがにスタジオ脇に運び込んだ模型を撤去したりはしないようだが、カメラを運んで解答席の前に設置し、映り方に問題がないかチェックをしたのちに、自分の身なりを簡単に整えてカメラの前へと戻る。その間に解答者達は自分の席へと座った。
「さてぇ――【ディティクティヴタイム】も終わりまして、そろそろ真相が見えてきたのではないでしょうか?」
まだ再現映像の後半部分を残している状態。現状で真相になんて近づけやしない……と思っているからこそ、そんな挑発じみたことが言えるのであろう。だから九十九は「まぁな――」とだけ返してやった。藤木の言葉がテレビ用の演出であることは分かっていたが、あえて牽制してやった形だ。藤木は一瞬だけ動きを止めたが、九十九の言葉をスルーして司会者に徹する。
「さて、これよりいよいよ後半戦。皆さんには再現映像をご覧いただきます。果たして、被害者はなぜ高さ20メートルもある【虚無の石櫃】の中で――」
「だから、その発想自体がそもそも間違ってんだよ」
藤木の言葉をわざと遮ってやる。これは、藤木に対して放った言葉というより、この場にいる犯人に対する牽制のつもりだった。言葉を放つと同時に周囲の様子を観察する。ぱっと見た限り変化は見受けられないが、犯人にとって今の一言は充分に牽制となったはずだ。
「あのですね、九十九さん――今は私が進行しているのですから、途中で口を挟まないでいただけます?」
声をひそめて苦言を呈してきた藤木であるが、マイクを通して注意するものだから、声をひそめている意味がまるでない。これが垂れ流しになるのだとすれば、実にグダグダの番組となっていることだろう。咳払いをひとつすると、何事もなかったかのように藤木は続けた。
「被害者はなぜ高さ20メートルもある【虚無の石碑】の中で事切れていたのか? その真相はどこにあるのか? 全てはこれからご覧いただく映像の中に隠されています! それでは、早速ご覧ください!」
藤木の言葉が合図だったかのようにモニターが降りてくる。どうせ後半の再現映像が残っているのだから、降ろしたままにしておけばいいものを――変なところで藤木のこだわりが感じられる。
九十九の頭の中ではすでに答えが構築されつつある。ただ、まだ犯人がこの中の誰なのかは確定できていない。九十九は解答者席をざっと眺めると、降りきったモニターを睨みつけたのであった。
「さてぇ――【ディティクティヴタイム】も終わりまして、そろそろ真相が見えてきたのではないでしょうか?」
まだ再現映像の後半部分を残している状態。現状で真相になんて近づけやしない……と思っているからこそ、そんな挑発じみたことが言えるのであろう。だから九十九は「まぁな――」とだけ返してやった。藤木の言葉がテレビ用の演出であることは分かっていたが、あえて牽制してやった形だ。藤木は一瞬だけ動きを止めたが、九十九の言葉をスルーして司会者に徹する。
「さて、これよりいよいよ後半戦。皆さんには再現映像をご覧いただきます。果たして、被害者はなぜ高さ20メートルもある【虚無の石櫃】の中で――」
「だから、その発想自体がそもそも間違ってんだよ」
藤木の言葉をわざと遮ってやる。これは、藤木に対して放った言葉というより、この場にいる犯人に対する牽制のつもりだった。言葉を放つと同時に周囲の様子を観察する。ぱっと見た限り変化は見受けられないが、犯人にとって今の一言は充分に牽制となったはずだ。
「あのですね、九十九さん――今は私が進行しているのですから、途中で口を挟まないでいただけます?」
声をひそめて苦言を呈してきた藤木であるが、マイクを通して注意するものだから、声をひそめている意味がまるでない。これが垂れ流しになるのだとすれば、実にグダグダの番組となっていることだろう。咳払いをひとつすると、何事もなかったかのように藤木は続けた。
「被害者はなぜ高さ20メートルもある【虚無の石碑】の中で事切れていたのか? その真相はどこにあるのか? 全てはこれからご覧いただく映像の中に隠されています! それでは、早速ご覧ください!」
藤木の言葉が合図だったかのようにモニターが降りてくる。どうせ後半の再現映像が残っているのだから、降ろしたままにしておけばいいものを――変なところで藤木のこだわりが感じられる。
九十九の頭の中ではすでに答えが構築されつつある。ただ、まだ犯人がこの中の誰なのかは確定できていない。九十九は解答者席をざっと眺めると、降りきったモニターを睨みつけたのであった。
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