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第2問 虚無の石櫃【出題編】
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何か言い返したいことがあったのであろう。数藤が口を開きかけるが、藤木に「数藤さん――」と妙に静かな口調で止められる。それが藤木の普段のテンションとはまるで違ったせいか、さすがの数藤も言葉を飲み込んだようだった。番組を引っ掻き回そうとしている数藤のことを、藤木もあまり快く思っていないのかもしれない。そうだとすれば、数藤の独立宣言は大成功ということになる。
「さて、そろそろ時間になります。伊良部さん、どうぞ――」
事態が3分刻みで進んでいるせいか、時間の流れが早く感じられる。おそらく、藤木は質問をされている間もカウントを止めず、本当に3分刻みで番組を回しているのだろう。だから、質問と質問の間が短く感じ、それが時の流れを捉える感覚を麻痺させている。
相変わらずオドオドしているというか、どうにも堂々とした様子ではない柚木。わけも分からず、こんな非現実的な空間に放り込まれているのだ。もしかすると、柚木のリアクションが正解なのかもしれない。良くも悪くもこの環境に少しずつ慣れ、感覚がおかしくなっているのは九十九のほうだったりするのかも。
柚木が質問をする。藤木が相槌を打ちながら聞く。今度は藤木が質問に対して答える番で、藤木から答えを聞いた柚木は顔を上げ、その場でこちらに報告をする。
「答えは【ノー】だそうです」
被害者は転落死ではない。それは遺体と現場の状況から明らかになっていたことであったが、これだしっかりと藤木から言質をとったことになる。もっとも、柚木が嘘をついていないことが前提だが。
現場の何かしらを再現した発泡スチロールのクズ、犯人が持ち込んだ伸縮式の梯子、被害者の死因――高さが20メートルもある【虚無の石櫃】なる芸術作品。ここまでの情報から察するに、九十九達は最初から大きな思い違いをしていた可能性が出てきた。
犯人は一般的な常識から逸脱した手段で、あのような現場を作り上げたのではないだろうか。その一般的な常識が先入観となり、だからこそまるで不可能犯罪のように見えてしまっているのではないだろうか。だとしたら、最後の――思惑通り最後となった眠夢の質問は決まりだ。
「あー、これでもう最後ですねぇ。次の西潟さんの質問で【質問権】を使いきります。尺の都合もありますし、西潟さんの質問をもってして【ディティクティヴタイム】も終了としましょう」
現時点で、九十九の頭の中にはある可能性が浮かび上がっていた。それを検証するのは、おそらく後半の再現映像で充分だろう。眠夢に【質問権】を行使させて終了という形で問題はない。
「さて、そろそろ時間になります。伊良部さん、どうぞ――」
事態が3分刻みで進んでいるせいか、時間の流れが早く感じられる。おそらく、藤木は質問をされている間もカウントを止めず、本当に3分刻みで番組を回しているのだろう。だから、質問と質問の間が短く感じ、それが時の流れを捉える感覚を麻痺させている。
相変わらずオドオドしているというか、どうにも堂々とした様子ではない柚木。わけも分からず、こんな非現実的な空間に放り込まれているのだ。もしかすると、柚木のリアクションが正解なのかもしれない。良くも悪くもこの環境に少しずつ慣れ、感覚がおかしくなっているのは九十九のほうだったりするのかも。
柚木が質問をする。藤木が相槌を打ちながら聞く。今度は藤木が質問に対して答える番で、藤木から答えを聞いた柚木は顔を上げ、その場でこちらに報告をする。
「答えは【ノー】だそうです」
被害者は転落死ではない。それは遺体と現場の状況から明らかになっていたことであったが、これだしっかりと藤木から言質をとったことになる。もっとも、柚木が嘘をついていないことが前提だが。
現場の何かしらを再現した発泡スチロールのクズ、犯人が持ち込んだ伸縮式の梯子、被害者の死因――高さが20メートルもある【虚無の石櫃】なる芸術作品。ここまでの情報から察するに、九十九達は最初から大きな思い違いをしていた可能性が出てきた。
犯人は一般的な常識から逸脱した手段で、あのような現場を作り上げたのではないだろうか。その一般的な常識が先入観となり、だからこそまるで不可能犯罪のように見えてしまっているのではないだろうか。だとしたら、最後の――思惑通り最後となった眠夢の質問は決まりだ。
「あー、これでもう最後ですねぇ。次の西潟さんの質問で【質問権】を使いきります。尺の都合もありますし、西潟さんの質問をもってして【ディティクティヴタイム】も終了としましょう」
現時点で、九十九の頭の中にはある可能性が浮かび上がっていた。それを検証するのは、おそらく後半の再現映像で充分だろう。眠夢に【質問権】を行使させて終了という形で問題はない。
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