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第2問 虚無の石櫃【出題編】

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 伸縮式の梯子。これが実のところ鍵を握っている。なんの目的で持ち込まれたのかは分からないが、施設にあったものでない以上、何者かが持ち込んだことは明白。牧村が持ち込んだ可能性が低いことは状況からしても分かっていた。旅館を抜け出し、高原まで向かうには移動手段が必要だ。その移動手段として真っ先に考えられるのがタクシーである。もしタクシーで現場まで向かうにしても、伸縮式の梯子はあまりにも大きすぎて、タクシーのトランクには入らないだろう。そもそも、どうやって伸縮式の梯子を調達するのか。あらかじめ車をレンタルしておき、そこに購入しておいた伸縮式の梯子を積んでおいた――という可能性にもいたったが、それらの可能性は【ノー】という凛の一言で消去された。もっとも、凛が本当のことを言っていれば……の話だが。

「よし、次の質問は単刀直入に行く。つまり【伸縮式の梯子を持ち込んだのは犯人なのか?】という質問にしよう」

 九十九が言うと、長谷川が首を小さく傾げて口を開く。

「ちょっと待ってくれ。さっきから、どうしてそんなに伸縮式の梯子にこだわるんだ?」

 そろそろ、どこかからそんな疑問が上がってくる頃だろうと思っていた。九十九は藤木のほうへと視線をやると口を開く。

「現場に転がっていた伸縮式の梯子。あれがどうにも不自然なんだよ。誰が持ち込んだのかは分からねぇが、あれには何かしらの意図があるはず。牧村が持ち込んだことは、現状で否定された。もしこれが、犯人の持ち込んだものだとすれば――そこにも必ず意図があるはず。それを読み解くためにも、誰が梯子を持ち込んだのかを明確にしておきてぇんだよ」

 伸縮式の梯子は、まず間違いなく何者かが持ち込んだものである。施設関係にあった備品で使用された痕跡のあるものがない以上、現地調達は不可能だ。つまり、ただでさえ大きくて持ち運ぶにしても不便な伸縮式の梯子を、何者かはわざわざ高原まで持ち込んだことになる。そこまでのことをしたのには、必ずや意味があるはず。それを探るためにも、持ち込んだ何者かを特定する必要があった。

「はい、それではタイミングも良いみたいですし、次の【質問権】の失効は長谷川さんにしますか」

 これで【質問権】を行使することになったのは、九十九、アカリ、凛、長谷川の4人。数藤は自ら【質問権】を放棄したから数に入れないとして、残る【質問権】は柚木と眠夢のものだけとなる。どこまで【質問権】を活用できるか。
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