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第2問 虚無の石櫃【出題編】

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 九十九達にとって、自ら聞きたいことを尋ねることができる【質問権】は、まず間違いなく有用なものである。しかしながら、それも扱い方を間違えてしまうと、とんでもない落とし穴にはまってしまうかもしれない。犯人は確実に嘘をついてくるだろうから、それを見極めなければならない。そう言った意味でも、凛に託した質問は重要になってくるかもしれない。

「はーい、それでは時間でーす。桃山さん、早くしないと【質問権】が失効しちゃいます」

 藤木の言葉に「言われなくても分かってまーす」と、凛はスタスタと藤木のほうへと向かう。メガホンのようなものを使って藤木に凛が質問をしている最中、またしても口を開いたのは数藤だった。

「彼女は――本当に元アイドルかね? 名前も知らなければグループ名も聞いたことがない。もっとも、アイドルなんてものは、どれも同じ顔にしか見えないがねぇ」

 今度は個人攻撃に切り替えたのか。それとも、質問をする行為そのものを妨害しようと考えたのか。相変わらず人を小馬鹿にするようなことを口にする。もっとも、九十九も凛がアイドルだと言われてもピンとこない。柚木辺りが知っていたから、そこそこメジャーなのであろうが。

「――なんか言った?」

 案の定、メガホンから口を離し、数藤のほうへと視線をやる凛。あえて睨みつけるような真似をしないのは、曲がりなりにもカメラが回っていることを意識しているからであろう。

「いや、ちょっとした独り言だよ。気にしなくていい」

 どう考えても凛の気を引くために発言したであろう数藤。そして、それにまんまと乗っかってしまう凛。藤木が痺れを切らしたかのように「桃山さん、まだ質問の途中ですよ」と一言。凛はメガホンのところに戻り、そして改めて質問を再開した。それを見てニタリと笑みを浮かべる数藤。この男、何を考えているのだろうか。

 藤木に質問を終えると、今度は立場が逆となり、藤木からの答えを聞かされている様子の凛。数藤の妨害があったものの、問題なく質問を終えることができたらしい。

「答えは【ノー】でした」

 こっちに戻りながら結果をカメラに向かって伝える凛。テレビ用の顔になってはいるが、やはり状況が状況であるがゆえに、ずっとそれを保ってはいられないのだろう。ところどころで彼女の素が見え隠れしている。

「そうか。だとすると、伸縮式の梯子は施設にあったものでもなければ、牧村が持ち込んだものでもなかったことになる。次の質問は決まりだな」
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