クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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第2問 虚無の石櫃【出題編】

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 状況的に考えても、数藤が犯人であるという答えは、あまりにも短絡的で安直である。もし、これで寝坊教授が犯人だと発覚してしまうと、その時点で数藤が犯人だということになってしまう。そんな簡単な答えを番組が用意するだろうか。

「だったら面白いかもしれんねぇ……」

 数藤も数藤で、それを無理に否定したりはしない。本人は冗談だとは言っていたものの、数藤は犯人宣言までしてしまっている。それがあまりにも露骨すぎるというか、こちらを困惑させて楽しんでいるようにしか思えない。何にせよ、ここで数藤を相手にしていても仕方がないし、時間を無駄にするだけだ。それを主張するかのごとく、藤木が声を上げる。

「それでは、次は――桃山さんの【質問権】が失効することにしましょう。また時間になったらお知らせします」

 一瞬、苗字のほうで呼ばれたために誰かと思ったが、次の【質問権】は凛に回ってきたらしい。数藤とやり合っていては、次の段取りがうまく組めない。こうしている今も時間は刻一刻と経過しているわけであり、それぞれの【質問権】が失効に向かってカウントダウンされている。先ほどの質問の答えを踏まえて、次の質問をしなければ。

「ねぇ、次はどんな質問をすればいいの?」

 凛を筆頭として、一同の視線が九十九に集まる。できる限り主導権を握るのを避けてはきたが、やはり第1問目の功績があるからなのか、どうにも周囲から期待されてしまっているようだ。

「そうだな――。周辺の施設や、その施設にあったものを使用した形跡がなかったのなら、あの伸縮式の梯子は持ち込まれたものである可能性が高い。それならば、持ち込んだのが誰なのか確定させたい。だから【現場にあった伸縮式の梯子は、被害者である牧村が持ち込んだものか?】という質問にする。無駄な質問に思えるかもしれねぇが、次はこれで行ってくれ」

 まだ確証はないし、犯人がどのような手段を用いて犯行に及んだのかも分からない。今は可能性を絞り込むという作業よりも、可能性を潰していく作業を優先したい。もっとも、どこまで絞り込めるかは微妙なところだが。

「うん、分かった。それじゃあ、凛はその質問をするね」

 ふと、さっきの数藤の言葉を思い出す。この中に犯人が混じっているのであれば、馬鹿正直に藤木の答えをみんなに伝えるわけがない。むしろ逆のことを言えば、それだけでも答えを間違った方向に導くことができる。アカリが嘘をついている可能性はゼロではないし、凛が嘘をつかないという保証もない。もちろん、長谷川や柚木にも同じことが言える。だからこそ、できるだけ眠夢は後になって欲しい。ある程度の絞り込みができた状態で、確実に犯人ではない眠夢に【質問権】が回ってきて欲しいところ。
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