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第2問 虚無の石櫃【出題編】
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藤木の強引なルール変更により【質問権】を行使せざるを得なくなってしまった九十九。まずは、一同の疑問として明確になっている発泡スチロールのクズに対して行使することにする。それに対しての反対意見はなかった。
「とりあえずそれでいいだろう。とにかく【質問権】を無駄にしてしまうような事態だけは避けたい」
長谷川が一同の意見を代弁するかのごとく同意し、その場で意思決定がなされた。
「ふん、実にくだらんなぁ。そんな【質問権】などという措置を使わねば答えを導き出せないのかね? さすがは烏合の衆だ。馬鹿が集まって頭を絞ったところで無駄だというのが分からんとは」
また数藤が、誰に言うでもなく口を開く。それに反応してしまうのがアカリであり、明らかにムッとした感じで「あの!」と声を荒げるが、九十九はそれを手で制した。
「むしろ、この状況で孤立するほうが馬鹿だと思うけどなぁ。まぁ、あんた1人が欠けたくらいじゃ問題ねぇし――ずっとそこでほざいてろよ」
人は自分がやられて嫌なことを人にやる傾向にある。数藤の場合、他人に馬鹿にされたくないから、我先にと馬鹿にしているような印象があった。だから、わざと数藤がやられて嫌なことをやり返してやった。それでアカリも溜飲が下がったのか、それ以上は何も言わなかった。
「はい、そろそろ時間になります。早くしないと九十九さんは【質問権】を失ってしまいますからね」
九十九達と数藤。その対立図を眺めつつ高みの見物と洒落込んでいるのは、司会者という安全地帯にいる藤木である。果たして彼の思惑は何なのであろうか。何のために、こんなことをしているのか。
「おい、それじゃお望み通りに【質問権】を行使してやるよ。どうすればいいんだ?」
藤木に対して【質問権】を行使するのはいいとして、その流れみたいなものは聞いていない。この辺りの段取りが悪いというか、親切ではないというか。藤木自身がルールブックみたいな感じになっているから、こうなってしまうのだ。
「それでは九十九さん。私のほうに来て、これを通して質問をしてください」
藤木はそういうと、手に持っていたメガホンらしきものを耳に当てた。口が広くなっているほうに顔を近づけ、耳打ちの要領で藤木に質問せよということなのだろう。直接耳打ちをするよりかはマシであるが、他にもっと良い手段はなかったのであろうか。仕方なく、メガホンに顔を近づけると、九十九は藤木へと質問をした。
「とりあえずそれでいいだろう。とにかく【質問権】を無駄にしてしまうような事態だけは避けたい」
長谷川が一同の意見を代弁するかのごとく同意し、その場で意思決定がなされた。
「ふん、実にくだらんなぁ。そんな【質問権】などという措置を使わねば答えを導き出せないのかね? さすがは烏合の衆だ。馬鹿が集まって頭を絞ったところで無駄だというのが分からんとは」
また数藤が、誰に言うでもなく口を開く。それに反応してしまうのがアカリであり、明らかにムッとした感じで「あの!」と声を荒げるが、九十九はそれを手で制した。
「むしろ、この状況で孤立するほうが馬鹿だと思うけどなぁ。まぁ、あんた1人が欠けたくらいじゃ問題ねぇし――ずっとそこでほざいてろよ」
人は自分がやられて嫌なことを人にやる傾向にある。数藤の場合、他人に馬鹿にされたくないから、我先にと馬鹿にしているような印象があった。だから、わざと数藤がやられて嫌なことをやり返してやった。それでアカリも溜飲が下がったのか、それ以上は何も言わなかった。
「はい、そろそろ時間になります。早くしないと九十九さんは【質問権】を失ってしまいますからね」
九十九達と数藤。その対立図を眺めつつ高みの見物と洒落込んでいるのは、司会者という安全地帯にいる藤木である。果たして彼の思惑は何なのであろうか。何のために、こんなことをしているのか。
「おい、それじゃお望み通りに【質問権】を行使してやるよ。どうすればいいんだ?」
藤木に対して【質問権】を行使するのはいいとして、その流れみたいなものは聞いていない。この辺りの段取りが悪いというか、親切ではないというか。藤木自身がルールブックみたいな感じになっているから、こうなってしまうのだ。
「それでは九十九さん。私のほうに来て、これを通して質問をしてください」
藤木はそういうと、手に持っていたメガホンらしきものを耳に当てた。口が広くなっているほうに顔を近づけ、耳打ちの要領で藤木に質問せよということなのだろう。直接耳打ちをするよりかはマシであるが、他にもっと良い手段はなかったのであろうか。仕方なく、メガホンに顔を近づけると、九十九は藤木へと質問をした。
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