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第2問 虚無の石櫃【出題編】
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「あのぉ、ごちゃごちゃ言っていないで使ってみません? 誰か【質問権】を――。こういうのはね、後で一気にまとめてってのは面白くないんですねぉ。絵面としてもよろしくない。やはりですねぇ、番組としては小出しに【質問権】を行使しつつ、この【ディティクティヴタイム】に飽きがこないように展開して欲しいのです。ほら、後に全部まとめられると、それはそれで面倒ですし、編集するということもできませんので、垂れ流しだとグダグダになるでしょう? 解答者も演者なのですから、その辺りを意識していただかないと。沢山の視聴者がいることを前提にして盛り上げて欲しいのですよ」
こんなことをやっている時点でそうなのだが、なんとも自分勝手な言い分である。大体、好きでこんなクイズ番組に参加しているわけではないのだ。気がついたら参加せざるを得ない状況になっていただけのことであり、番組構成やら番組の盛り上げのことにまで気を回さねばならないというのはおかしい。視聴者にとって面白いものを――というのは、藤木のエゴにすぎない。
「あいつの言い分なんて気にしなくていい。問題点を洗い出して、誰がどの質問をするのかを振り分ける。やり方としては、それがベストであることは間違いない」
長谷川を筆頭として、視線が自分に集まっていることに気づいた九十九は、藤木の言葉を一蹴するつもりで口を開く。しかし、このクイズ番組の主導権は藤木にある。言ってしまえば、彼はルールブックにさえなり得るのだ。
「おっとぉ、ここで追加ルールです! それぞれに与えられた【質問権】は、ただいまより3分毎にランダムで失効することにしましょう。えーっと、とりあえず九十九さんね。九十九さんは、今から3分以内に【質問権】を行使しないと、その権利を失効しまーす」
やりたい放題。できる限り混乱が起きぬよう、また犯人が誰なのか探りを入れつつ、有効的に【質問権】を活用するため、慎重に場を動かしていたつもりだったのだが、藤木の追加したルールのせいで、そうもいかなくなってしまった。数藤の孤立はあったものの、ある程度の統制がとれていたものを引っかき回すかの所業。波風ひとつ立っていなかった水面に、大きな石をわざと放り投げるような行為は、実に子どもっぽくて腹立たしい。水面に発生した波紋は、一気に広がった。
「3分毎に誰かが【質問権】を失効するって――大体、質問する内容だって、全部決まったわけじゃないのに」
アカリの口調には、明らかな焦りが含まれていた。
こんなことをやっている時点でそうなのだが、なんとも自分勝手な言い分である。大体、好きでこんなクイズ番組に参加しているわけではないのだ。気がついたら参加せざるを得ない状況になっていただけのことであり、番組構成やら番組の盛り上げのことにまで気を回さねばならないというのはおかしい。視聴者にとって面白いものを――というのは、藤木のエゴにすぎない。
「あいつの言い分なんて気にしなくていい。問題点を洗い出して、誰がどの質問をするのかを振り分ける。やり方としては、それがベストであることは間違いない」
長谷川を筆頭として、視線が自分に集まっていることに気づいた九十九は、藤木の言葉を一蹴するつもりで口を開く。しかし、このクイズ番組の主導権は藤木にある。言ってしまえば、彼はルールブックにさえなり得るのだ。
「おっとぉ、ここで追加ルールです! それぞれに与えられた【質問権】は、ただいまより3分毎にランダムで失効することにしましょう。えーっと、とりあえず九十九さんね。九十九さんは、今から3分以内に【質問権】を行使しないと、その権利を失効しまーす」
やりたい放題。できる限り混乱が起きぬよう、また犯人が誰なのか探りを入れつつ、有効的に【質問権】を活用するため、慎重に場を動かしていたつもりだったのだが、藤木の追加したルールのせいで、そうもいかなくなってしまった。数藤の孤立はあったものの、ある程度の統制がとれていたものを引っかき回すかの所業。波風ひとつ立っていなかった水面に、大きな石をわざと放り投げるような行為は、実に子どもっぽくて腹立たしい。水面に発生した波紋は、一気に広がった。
「3分毎に誰かが【質問権】を失効するって――大体、質問する内容だって、全部決まったわけじゃないのに」
アカリの口調には、明らかな焦りが含まれていた。
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