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第2問 虚無の石櫃【出題編】

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 第2問で新たに加わった要素である【ディティクティヴタイム】。再現された現場を自ら調べることができる上に、何よりも【質問権】が強い。内容によっては答えてもらえない場合もあるようだが、やり方によっては、かなり有利に物事を進めることができるのではないか。しかも――数藤はともかく、残りの6人は共同戦線を張っているようなものであり、それぞれに【質問権】があるのならば、実質的に6回の質問をすることが可能だ。それらを共有できれば、答えを出すのも容易くなることだろう。

「あ、ちなみにひとつ付け加えておきます。それぞれに与えられる【質問権】ですが、それに対する答えに関しては、質問された方にのみお答えさせていただくことにします。まぁ、それを共有するしないは自由ではありますが――」

 まるで九十九の心を見透かしたかのごとく、ピンポイントで条件を潰しにくる藤木。そんな彼は、セットの裏にでも準備していたのであろう。メガホンのようなものを持ってくる。それを見て、ピンときた。これもクイズ番組などで良くあるアイテム。答えが分かった人から、司会者へ順番に答えを述べる形式のクイズで、他の人間に答えが漏れないように、そっと耳打ちするためのものだ。おそらく、藤木からの回答は、あのメガホンのようなものを通して、質問をした人間にのみ伝えられるのであろう。

「あ、共有はしてもいいんだ。それだったら大丈夫――」

「じゃねぇよ。ちっとは頭を使えよ」

 アカリが胸をなでおろしながら呟いた言葉を遮る九十九。わざわざ藤木がそんなことをするのには理由がしっかりあるのだ。

「あ、あのね。言いかたってものがあるでしょ?」

 アカリが憤慨したかのように声を上げる。その背後にいた眠夢が、九十九に賛同するかのごとく頷き、そしてぽつりと漏らす。

「もし犯人が私達の中に混じっているのだとしたらぁ、素直に【質問権】でもらった答えをみんなに伝えたりしませんもんねぇ。犯人からすれば【質問権】で得た答えは、自分の正体を暴くかもしれないマイナスな情報。もし私が犯人の立場だったらぁ、何食わぬ顔をしながら嘘を伝えると思いますぅ」

 元より目が細くて垂れ目なせいか、常に眠たそうに見える眠夢。しかしながら、相変わらず頭の回転は早い。少なくとも、アカリよりは早いだろう。

「それぞれに【質問権】はあるが、しかし必ずしも正しい情報が手に入るとは限らない――というわけか」

 長谷川の言葉を振り払うかのごとく、そして自分に周囲の注意を引きつけるためだろう。藤木がわざとらしく咳払いをした。
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