クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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第2問 虚無の石櫃【出題編】

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【3】

 再現映像が流れた辺りから、スタジオの隅のほうで藤木が何やらこそこそし始めたと思ったら、台車に乗せて解答席隣のスペースに、何やら奇妙なものを運び始めた。あらかじめ分割して作り、組み合わせるだけで完成するように段取りを組んでいたのであろう。スタジオの隅と解答席隣のスペースを何度も往復した藤木は、それが終わると部品を組み立て始めた。素材は発泡スチロールか何かなのであろう。自分の体より大きな部品を藤木はひょいひょいと持ち上げて組み立てていった。正直、それが目の片隅に入って再現映像どころではなかった。なんとなく内容は頭の中に入ってきていたが、いい迷惑である。

 藤木の作業は続き、真っ白な発泡スチロールを組み立てていくと、そこには【虚無の石櫃】を縦に割った断面図らしき模型ができあがった。一番下にあるのが台座、そして、そこからスタジオの天井に向かって伸びているのが、石櫃本体であろう。もっとも、藤木だけで組み立てるには限度があり、石櫃の模型の高さも、あって5メートル程度ではあるが。

 額の汗を拭って、自分の仕事を確認するかのごとく、少し退がって模型を眺めた藤木。またしてもスタジオの隅に向かったと思ったら、今度は人影――いや、真っ黒なマネキンを運んできた。無駄に関節などが動くタイプらしく、それを台座の上に座らせ、石櫃の壁に寄りかからせる。あくまでも断面図のようであるから、被害者は石櫃の内壁に体を預けて死んでいたという解釈になるのだろう。

 続いてマネキンの足元に携帯電話らしきものを置いた。これにて準備は完了だったようで、藤木は定位置に戻り、もう一度だけ額の汗を拭って体裁を整えると、再現映像が終わるのを待っているようだった。

 藤木の動きが気にはなったものの、しっかりと再現映像のほうにも意識を分散させていた九十九。実はセットが組み上げられた時点で、奇妙なことに気づいていた。藤木に確認を取らなければならないだろうが、それは物理的に考えても不自然だった。

 こうして再現映像が終わり、変なテンションで再現映像からバトンを受け取った藤木に呼ばれ、藤木の努力の結晶である特設ステージの前へと呼び出されて現在にいたる。

「さぁ、こちらが現場となった【虚無の石櫃】を再現した模型です。分かりやすいように縦で半分に割った断面図になっております。これから、解答者の方々には現場を自由に調べていただきます。その名も【ディティクティヴタイム】! 名探偵はそこのあなただ!」
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