クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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第2問 虚無の石櫃【出題編】

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「今回は前回みたいに安易な絞り込みはできないということか――」

 やはり二日酔いが響いているであろう。出雲の声はどこか元気がなく、また明らかに具合が悪そうだった。これに懲りて、せめてここでは飲まないようにしていただきたい。嗜む程度ならば問題ないのであるが、ベロンベロンになるまで飲まれては堪ったものではない。

「そうですね。事件の概要もはっきりとしていませんし、今は憶測を抜きにして、まずは事件のことを知るべきだと思います」

 自分でも色々と憶測を並べ立てながら映像を見ているくせに、出雲にはそれらしいことを言って、映像に注視するよう仕向ける小野寺。いや、自分の見落としが怖いからこそ、出雲にしっかり映像を追って欲しいと無意識に思ったのかもしれない。

「だな、このうざったいCMも終わりそうだしな」

 結局のところ、CMは藤木が延々としゃべり続けたクイズ番組の番宣のみで終わってしまった。普通、CMといえば30秒程度の短いものであるというイメージが強い。それゆえ、まるでCMっぽくなかった。あくまでも番組の延長線上にすぎない印象だ。

 CMが終わり、再現映像が再び流れ始める。真っ暗な画面に、白文字で【某月某日 事件発生前日】と表示される。そしてまた画面が切り替わると、新幹線を俯瞰ふかん的に撮影した映像が流れた。そのバックにナレーションが流れる。

 ――この日、寝坊教授が開催するゼミに集まるメンバーで、旅行に向かうことになっていました。参加者は、自ら旅行を企画した山田さん、1号さん、2号さん、山男さん、地味子さん、寝坊教授、そして……殺害された牧村さんでした。

 登場人物は被害者を含めて全員で7人。牧村は後で遺体となって発見されることになっているから、容疑者は牧村を除いた6人ということになる。新幹線の映像が切り替わり、今度はおそらく新幹線の中であろう。車窓を映しながらのナレーションが入った。

 ――集合予定時刻になりましたが、しかし寝坊教授さんがやって来ません。旅行を企画した山田さんをはじめ、山男さんなども寝坊教授さんに連絡をとってみましたが繋がらず、電車の時間となってしまいました。

 改めて考えてみると、ものすごく駄目な大人である。いや、これは偏見になってしまうのだが、大学の教授様ともなれば、多少世の中から逆行していたりするのが普通なのかもしれない。すなわち、寝坊やら遅刻もまた、やって当然のことなのかもしれない。
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