クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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第2問 虚無の石櫃【出題編】

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「ニュアンス的には間違ってはいないが、私はこう考える。おそらく、あらかじめ用意してあるものでなければ手に入らないのだよ」

 薄々と九十九も考えていたことであるが、どうやら数藤も同じような考えにたどり着いたらしい。つまり、九十九が当面の食糧を要望した際、保存できるものばかりが支給されたのも、そのような理由があるからなのかもしれない。

「えっと――だから、どういうことなんだ?」

 長谷川のポジションはもう決まったようなものだった。なんでもかんでもホームズ任せにして、自分は読者の投影先となってしまったワトスン。聞けば誰かが答えてしまうものだから、もはや聞くことしかできなくなったワトスンのようなものだ。

「これは憶測でしかないのだが、私達のいるスタジオは、そもそも外界から切り離され、また独立した場所にあると考えられる。よって、こちらが要望した品物に関しても、番組側はあらかじめ用意していたものしか出せないのだよ。むろん、それ以外のものを調達できる状況にもない。これが何を意味しているのか――分かるかね? 先ほどの疑問に回帰するものだと思うのだが」

 このスタジオは、外界から遮断された場所に存在する。その意見には概ねで同意である。造りは立派なスタジオではあるが、廊下や楽屋を含めて窓はひとつもなく、妙な閉塞感が漂っている。スタジオから外に出られるようなルートはないし、廊下に面した10の扉の先は、おそらくほとんどが楽屋である。解答者8人分の楽屋と、藤木の楽屋。察するに、残りの扉は、食糧やら備品やらと、解答者の要望に応えるため、また円滑にクイズ番組を進行させるためのものが溜め込まれた倉庫だと思われる。実際に調べてみないことにはなんとも言えないが、ここに出口らしき出口は見当たらないのである。

「ここには私達しかいない――とでも言いたいんですかぁ?」

 珍しくスタジオ入りしてから眠っていない眠夢。その言葉に数藤は「左様」と答えた。そこにアカリが割って入る。

「でも、まだ調べてない場所もありま――」

「もう無用な押し問答はやめましょう。そのために、こちらからひとつの情報を提示させていただくことにします」

 割って入ったアカリの言葉にかぶせるようにして、今度は藤木が口を開く。このままではきりがないと考えたのかもしれない。

「あえて、断言させていただきましょう。皆さんも薄々気づいているようですが、司馬さんを降板――殺害した人間は……この建物の中にいる誰かということになります。ちなみに、私が司馬さんを殺害していないことも同時に宣言させていただきます」
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