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第1問 理不尽な目覚め【エピローグ】
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なんとも女というものは面倒な生き物である。手を出すなと言ってみたり、そっけない態度で返せば、それはそれで面白くなかったりと、どうしていいのか分からないリアクションを見せることがある。嫌よ嫌よも好きのうち――などという、実に矛盾していて理解不能な言葉があるくらいだから、きっと九十九が思っている以上に複雑な構造をしているのであろう。
あえてアカリの言葉に反応せず、麺をほぐすと一気にすする。さすがにあらかじめ用意されていた握り飯を食べる気にはなれなかった。まるでわけが分からない状態で、ポンと用意されていた得体のしれない食べ物。それを口にした奴はいるのだろうか。案外、アカリ辺りは何の警戒もせずに口にしていそうであるが。
ある程度麺をかき込むと、今度はスープを飲む。はっきり言って体には悪いのであろうが、このジャンクな感じと、あえて体に悪いことをしているという背徳感のようなものが最高のスパイスである。
自分でも自覚しないまま、よほど美味そうに食べていたのであろう。どこかで腹の虫が鳴いた。もちろん、エサを与えている最中の九十九の腹の虫が鳴くわけがない。アカリのほうに視線をやると、やはり曲がりなりにも女なのであろう。恥じるかのようにうつむいた。
「仕方ねぇな――こいつをやるよ」
テーブルの上に置かれた食糧の中から、おそらく自分は食べないであろうものをピックアップして、アカリのほうへと放り投げる。とりあえずカンパン辺りはまず食べることはない。やや大きめの缶の中には、さぞ硬いパンがごっそりと入っていることであろう。
「あ、ありがとう……」
腹が減ってはなんとやら。その様子から察するに、さすがに楽屋に用意されていた握り飯には手をつけなかったか。アカリがしゃがみ込み、足元に転がった缶を拾い上げようとした時のことだった。
バン――という扉が開け放たれるような音が扉の向こう側から聞こえると、続いて何やら揉めるような音が飛んでくる。思わず扉に視線をやる九十九とアカリ。不穏なものを感じた九十九が立ち上がった瞬間、耳をつんざくような悲鳴が聞こえた。男が腹の底から出したような悲鳴。今度は扉が閉じるような音が鳴り響き、揉み合うような音と男の悲鳴が遮断された。
扉に駆け寄るとドアノブを回す……が、アカリがやった時と同じようにロックがかかっている。九十九より背の低いアカリが、不安げな表情で九十九のことを見上げていた。
あえてアカリの言葉に反応せず、麺をほぐすと一気にすする。さすがにあらかじめ用意されていた握り飯を食べる気にはなれなかった。まるでわけが分からない状態で、ポンと用意されていた得体のしれない食べ物。それを口にした奴はいるのだろうか。案外、アカリ辺りは何の警戒もせずに口にしていそうであるが。
ある程度麺をかき込むと、今度はスープを飲む。はっきり言って体には悪いのであろうが、このジャンクな感じと、あえて体に悪いことをしているという背徳感のようなものが最高のスパイスである。
自分でも自覚しないまま、よほど美味そうに食べていたのであろう。どこかで腹の虫が鳴いた。もちろん、エサを与えている最中の九十九の腹の虫が鳴くわけがない。アカリのほうに視線をやると、やはり曲がりなりにも女なのであろう。恥じるかのようにうつむいた。
「仕方ねぇな――こいつをやるよ」
テーブルの上に置かれた食糧の中から、おそらく自分は食べないであろうものをピックアップして、アカリのほうへと放り投げる。とりあえずカンパン辺りはまず食べることはない。やや大きめの缶の中には、さぞ硬いパンがごっそりと入っていることであろう。
「あ、ありがとう……」
腹が減ってはなんとやら。その様子から察するに、さすがに楽屋に用意されていた握り飯には手をつけなかったか。アカリがしゃがみ込み、足元に転がった缶を拾い上げようとした時のことだった。
バン――という扉が開け放たれるような音が扉の向こう側から聞こえると、続いて何やら揉めるような音が飛んでくる。思わず扉に視線をやる九十九とアカリ。不穏なものを感じた九十九が立ち上がった瞬間、耳をつんざくような悲鳴が聞こえた。男が腹の底から出したような悲鳴。今度は扉が閉じるような音が鳴り響き、揉み合うような音と男の悲鳴が遮断された。
扉に駆け寄るとドアノブを回す……が、アカリがやった時と同じようにロックがかかっている。九十九より背の低いアカリが、不安げな表情で九十九のことを見上げていた。
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