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第1問 理不尽な目覚め【エピローグ】
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どれくらい経過したであろうか。番組中の時間表示だけが時計の役割を果たしていたため、それがなくなると時間の流れをいまいち把握できなくなる。窓に歩み寄って外を覗いてみた。特に知識はないのだが、太陽の高さから察するに正午くらいか。番組が終わる直前、画面の左上に表示されていた時間がおおよそ11時半だったから、体感的に考えてもそれくらいであろう。時間になるとしっかり腹が減るのだから不思議である。
さらに待つことしばらく。考えないようにしているが、手持ち無沙汰で煙草のことが頭をよぎる。雑念を打ち払うかのごとく首を横に振っては、また煙草のことを考えて――を繰り返していると、食糧庫へと続く扉が勢い良く開く。中から嬉しそうな表情を携え、声を高々と上げたのは出雲である。
「小野寺! 喜べ! あったぞ――棚の奥のほうで見つけたんだ!」
そう言って出雲が何かを放り投げてきた。それをキャッチすると、小野寺は小さく息を漏らす。それは未開封の煙草であった。普段ならば絶対に吸わないような強くて不味い煙草であるが、しかしニコチンが切れかけている喫煙者からすれば、ニコチンの摂取が最優先。味は二の次だ。
続けて出雲が投げてきたのはライターだった。しっかりと調べていなかったから仕方がなかったのであるが、煙草があるのならば、もっと早々と調べておくべきだった。もっとも、番組が始まってしまったがゆえに調べる暇などなかったのだが。
ソフトケースを包んでいるフィルムを剥がすと、煙草を取り出して1本くわえる。出雲はすでにくわえ煙草で、実に幸せそうに有害な煙を吸い込んでは吐き出していた。
ライターの火を煙草に近づける。電子煙草に慣れてしまっていた小野寺の口には、やはりニコチン成分の強い紙煙草は煙たかった。それでも、ゆっくりと煙を肺へと取り込み、そしてゆっくりと煙を吐き出した。なぜ、こんなに煙たいものを美味いと思ってしまうのか。悔しいが、久方ぶりに吸う煙草は実に美味かった。ただし慣れていない強さの煙草だったせいで盛大にむせてしまった。
「しかも小野寺、これを見ろ。なんと酒まで見つけんだよ。まぁ、常温なのが残念だが、ビールからワイン、焼酎にウイスキー……なんでもござれだ。とりあえず飯の前に1杯どうだ?」
なんと出雲は煙草だけではなく酒まで見つけたらしい。ここに理由も分からず監禁されていることを別物として考えれば、かなりの高待遇なのではないか。
「でも――まだお昼ですよ」
さらに待つことしばらく。考えないようにしているが、手持ち無沙汰で煙草のことが頭をよぎる。雑念を打ち払うかのごとく首を横に振っては、また煙草のことを考えて――を繰り返していると、食糧庫へと続く扉が勢い良く開く。中から嬉しそうな表情を携え、声を高々と上げたのは出雲である。
「小野寺! 喜べ! あったぞ――棚の奥のほうで見つけたんだ!」
そう言って出雲が何かを放り投げてきた。それをキャッチすると、小野寺は小さく息を漏らす。それは未開封の煙草であった。普段ならば絶対に吸わないような強くて不味い煙草であるが、しかしニコチンが切れかけている喫煙者からすれば、ニコチンの摂取が最優先。味は二の次だ。
続けて出雲が投げてきたのはライターだった。しっかりと調べていなかったから仕方がなかったのであるが、煙草があるのならば、もっと早々と調べておくべきだった。もっとも、番組が始まってしまったがゆえに調べる暇などなかったのだが。
ソフトケースを包んでいるフィルムを剥がすと、煙草を取り出して1本くわえる。出雲はすでにくわえ煙草で、実に幸せそうに有害な煙を吸い込んでは吐き出していた。
ライターの火を煙草に近づける。電子煙草に慣れてしまっていた小野寺の口には、やはりニコチン成分の強い紙煙草は煙たかった。それでも、ゆっくりと煙を肺へと取り込み、そしてゆっくりと煙を吐き出した。なぜ、こんなに煙たいものを美味いと思ってしまうのか。悔しいが、久方ぶりに吸う煙草は実に美味かった。ただし慣れていない強さの煙草だったせいで盛大にむせてしまった。
「しかも小野寺、これを見ろ。なんと酒まで見つけんだよ。まぁ、常温なのが残念だが、ビールからワイン、焼酎にウイスキー……なんでもござれだ。とりあえず飯の前に1杯どうだ?」
なんと出雲は煙草だけではなく酒まで見つけたらしい。ここに理由も分からず監禁されていることを別物として考えれば、かなりの高待遇なのではないか。
「でも――まだお昼ですよ」
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