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第1問 理不尽な目覚め【解答編】

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 淡々とした様子の藤木は、そう言いつつ用紙を回収すべく再び解答席のほうへとやってくる。節操がないというか、もう少し時間を与えてくれてもいいようなものであるが、彼だけで品物を調達しなければならないのだから仕方がないのかもしれない。ということは、どこかにあるのだろうか。そのような品物を保管している場所が。

 九十九はここの構造を思い出す。廊下が伸びていて、その左右に扉が5つずつ。後はこのスタジオへと続く扉があるのみ。このスタジオの中にそういったものを保管する部屋があるのかもしれないが、しかし見渡してみた限りだと、楽屋のほうに続く観音開きの鉄扉と、トイレの扉しか確認できない。まずスタジオの中ということはないだろう。

 藤木が解答席のほうへとやって来たことで、ようやく用紙にペンを走らせる九十九。正直なところ欲しいものは幾らでもあったが、まずは無難なものを要求したほうがいい。そしてまた、九十九はペンを走らせつつも思考の深淵に落ちていく。

 ――まだ用途がはっきりとしていない場所がある。もしかすると、その辺りが保管庫なのかもしれない。それは、廊下に面した左右5つずつの扉だ。番組の解答者は全部で8人なのだから、部屋も8つあれば事足りる。しかしながら、あそこには左右で5つずつ……計10部屋あるのだ。そして、残りの2つの部屋の用途は、現時点では不明。

「はい、用紙を回収させてもらいますぉ」

 少しばかり意識を他の場所へと向けながらも、要望するものはしっかりと要望した九十九。回収に来た藤木が手を差し出す前に、こちらから押し付けてやった。

「――こんなふざけたことをやらせておいて、無事で済むと思うなよ。何を考えているのか分からねぇが、こんな番組、絶対にぶっ潰してやる」

 手際よくここに連れてこられ、なんだかんだと藤木の思い通りにクイズ番組に参加させられることになってしまったのは認めよう。また、現時点では不明な点が多く、そのせいで身動きができないことも認めよう。しかしながら、こんなことをされて黙っていられるほど、九十九は善人ではない。

「それはそれは……心より楽しみにしておりますよ。どうぞご自由に」

 売り言葉に買い言葉とは正しくこれであり、九十九の一言に対して藤木はそう言い放ち、気持ちの悪い笑みを浮かべた。全員の用紙の回収を終えた藤木は、向き直りもせずに解答席に背を向けながら続ける。

「一度楽屋が閉まってしまいますと、次の収録まで楽屋の外に出ることができません。また、万が一にも楽屋が閉まった時点で、楽屋の外に誰かがおられた場合、その誰かは問答無用でペナルティーが課せられますので……」
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