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第1問 理不尽な目覚め【解答編】

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「おやぁ……誰も答えの変更はないご様子。よろしいですね? 本当にその答えでよろしいですね? 後悔はしませんね?」

 クイズ番組あるあるというか、わざとらしいリアクションで解答席を見渡す藤木。しかしながら、誰もペンに手を伸ばそうとはしない。ここまで明確な答えが出てしまっているのだ。今さらになって答えを変更するなどという物好きはいないだろう。

「それでは、これにて解答を締め切らせていただきます!」

 いよいよ、解答の締め切り。そもそも、最後の議論戦は考慮していなかったため、解答の締め切りが延びようが全く関係ない。結局のところ、司馬が犯人であるとい裏付け作業をしただけ。まぁ、このような時間が設けられることについて文句はない。もしかすると、今後は休憩時間だけでは決着がつかないような案件が出てくるかもしれないのだし。

 藤木が手元を動かすと、これまた定番中の定番というか、安っぽいドラムロールの音が流れ始める。セットもなんだか昭和チックであるし、いちいち演出が薄ら寒い。おそらく、藤木のキャラクターも相まって、そう思えるのであろう。

「第1問は、ほとんどの方が司馬龍平さんと解答。唯一、司馬龍平さんは九十九ヒロトさんを答えといたしました。さぁ、果たして正解はいかに――」

 ドラムロールが盛り上がり、そしていよいよ大きなシンバルが鳴り響く。一時期、正否を散々引き延ばすような、まどろっこしい手法が取り入られたクイズ番組が流行ったが、正しくそれのオマージュだと言わんばかりに、藤木はニヤニヤとしながら解答席を見渡すばかり。いい加減、文句のひとつでも言ってやろうかというほどの間を持たせてから、大きく息を吸い込んだ。

「正解は司馬龍平さん! 第1問の犯人は司馬龍平さんでしたぁぁぁぁ! なんとご本人以外全員正解! ルールに則り、正解者の方にはご希望のものを支給させていただきます。それと、正解者が過半数以上となりましたので、正解者の方全員に1千万円を差し上げまーす!」

 犯人は司馬龍平以外にあり得ない。そう確信していても、やはり正解を聞いた途端に安堵の溜め息が漏れた。ドラムロールが終わってしまったスタジオはすっかりと静まり返り、変にテンションの高い藤木の正解発表が、なんだか滑ったようになってしまった。そんなことは気しないといった様子でカメラのほうへと向き直った藤木は、カメラに向かって語りかける。締めのBGMらしきものがバックで流れているが、やっぱりどこか古臭いような音楽だ。

「さぁ、新感覚クイズ番組、クイズ、誰がやったのでSHOW! 今回はこれにてお別れです。また明日の同じ時間にお会いしましょう!」
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