クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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第1問 理不尽な目覚め【解答編】

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 そう、長谷川の言う通り。モニターに映し出されたギターは、一般的な右利き用のギターではなく、左利き用のギターなのである。

「4人の趣味をわざわざ公開したのは、白川が左利きであることを示唆するためだった――というわけだ」

 ケーニヒスベルクの橋の一件で、ややご機嫌が斜めになっていたのであろう。これまでずっと沈黙を守っていた数藤がようやく口を開く。自分はしっかりと答えまでたどり着いていた――ということをアピールでもしたいのだろうか。

「このギターが左利き用ってことですよね? でも、どうして左利き用だって分かるんですか?」

 凛と同様に、楽器に関する知識が乏しいのであろう。アカリの声が狼狽する司馬越しに飛んでくる。この違和感に気づけるのは、多少なりとも楽器の知識がある者に限られるのかもしれない。

「弦が張られている順番だよ。白川のギターは真正面から撮影されている。そして、左から順に弦が太くなるように張られているだろう? この順番が逆なんだよ」

 おそらく、長谷川は過去にギターを触ったことがあるのだろう。注目した点は、もちろん九十九と全く同じ場所だ。また数藤が口を挟む隙を伺っているように見えたが、そのタイミングを潰すかのごとく続けて長谷川が口を開く。本人は意識してやっているわけではないのだろうが、口を開こうとした数藤が前のめりにズッコケそうになったのを見て、九十九は思わず吹き出してしまった。

「ギターってのは通常、左手でネック側を持って、右手はピッキングのためにブリッジ側に持ってくる。左手で弦を押さえて、右手で弦を弾くわけだ。このフォームになった時、ギターの弦は上から順に弦が細くなっていくようになっていなければならない。じゃあ、実際にモニターに映った白川のギターを構えたところを想像してみるといい。左手にネック側を持ってくるようにするんだ」

 ズブの素人であっても、なんとなくギターをどのように構えるのかは知っている。それこそ、テレビ慣れしている凛は、まだテレビということを意識しているのか、実際にギターを構えるようなジェスチャーをする。

「あ、この構えかただと、上から順に弦が太くなるようになりません? 長谷川さんの言っていることと逆になってしまうんですけど」

 柚木の言葉を聞いた数藤が、きっと今度こそはと気合を入れていたのであろう。間髪入れずに口を開くことには成功したが、力が入りすぎたせいか盛大に声が裏返る。

「ならば――。し、失敬。ならば、そのフォームを逆に構えてみればいい。右手側にギターのネックを持ってくるんだよ」
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