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第1問 理不尽な目覚め【解答編】
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「うるせぇよ。余計なお世話だ。まぁ、外見だけで誰が犯人か分かれば苦労はない。今回に関しては、外見――ある仕草だけで、犯人が分かるわけだが」
まさか、そこまでこちらがたどり着いているとは思わなかったか。それとも、開き直りの勢いで押し通すつもりでいるのか。反論もせず、ただ黙って九十九のことを睨み続ける司馬の真意はどこにあるのか。もうどうあがいても逃げられないことに、いい加減気づいて欲しいところだ。
「ある仕草――ですか」
柚木が半分疑問形で問うてくる。再現映像の情報から、白川が犯人だと確定はした。後はシンクロ。再現映像の中で起きた事件の犯人と、この中にいる犯人をシンクロさせてやればいい。そして、その情報は意外なところに転がっていた。いや、あまりにも不自然過ぎたから、意外とは言えないのかもしれない。
「その前に、ちょっと思い出して欲しいんだよ。白川達の趣味をな」
九十九の言葉に長谷川が宙へと視線を投げ、再現映像を思い出しているかのごとく指を折りながら口を開く。
「えっと、確か白川の趣味がギター、黒井の趣味はヴァイオリンだったか。それで、青野がバレーボールで、赤間が野球だったか」
再現映像に挟まれた、それぞれの趣味。あまりに事件とかけ離れているために見逃してしまいそうだが、実はここにこそ、現実と再現映像をシンクロさせる鍵がある。
「そう、その通り。ここで注目して欲しいのは、それぞれに用意されていた映像、もしくは画像だ――」
九十九はそこで言葉を区切ると、ただ解答者達を静観するばかりの藤木のほうへと視線を向ける。
「おい、趣味の紹介で使われた画像や動画――俺の言う順番で映せるか?」
そのまま天井からぶら下がったままのモニターへと視線を移した。口で説明するのも良いのだが、実際に映像や画像を見てもらったほうが手っ取り早いだろう。もちろん、これを藤木が断る理由などないようで「よろしいでしょう。では、どちら様からにしますか?」とふたつ返事で了承を得ることができた。
「まずは黒井。ヴァイオリンを弾いている映像だ」
九十九が言うと「しばらくお待ちください」と言って解答席に背を向ける藤木。なんでも1人で進行しなければならないようだし、色々と大変であろう。
しばらくすると黒井がヴァイオリンを弾く映像が、モニターに流された。右手に弓を持ち、それで弦を擦りつつ、左手を巧みに動かす演奏は、すでに一度見たものである。どこかの発表会らしき映像が淡々と流れる。
まさか、そこまでこちらがたどり着いているとは思わなかったか。それとも、開き直りの勢いで押し通すつもりでいるのか。反論もせず、ただ黙って九十九のことを睨み続ける司馬の真意はどこにあるのか。もうどうあがいても逃げられないことに、いい加減気づいて欲しいところだ。
「ある仕草――ですか」
柚木が半分疑問形で問うてくる。再現映像の情報から、白川が犯人だと確定はした。後はシンクロ。再現映像の中で起きた事件の犯人と、この中にいる犯人をシンクロさせてやればいい。そして、その情報は意外なところに転がっていた。いや、あまりにも不自然過ぎたから、意外とは言えないのかもしれない。
「その前に、ちょっと思い出して欲しいんだよ。白川達の趣味をな」
九十九の言葉に長谷川が宙へと視線を投げ、再現映像を思い出しているかのごとく指を折りながら口を開く。
「えっと、確か白川の趣味がギター、黒井の趣味はヴァイオリンだったか。それで、青野がバレーボールで、赤間が野球だったか」
再現映像に挟まれた、それぞれの趣味。あまりに事件とかけ離れているために見逃してしまいそうだが、実はここにこそ、現実と再現映像をシンクロさせる鍵がある。
「そう、その通り。ここで注目して欲しいのは、それぞれに用意されていた映像、もしくは画像だ――」
九十九はそこで言葉を区切ると、ただ解答者達を静観するばかりの藤木のほうへと視線を向ける。
「おい、趣味の紹介で使われた画像や動画――俺の言う順番で映せるか?」
そのまま天井からぶら下がったままのモニターへと視線を移した。口で説明するのも良いのだが、実際に映像や画像を見てもらったほうが手っ取り早いだろう。もちろん、これを藤木が断る理由などないようで「よろしいでしょう。では、どちら様からにしますか?」とふたつ返事で了承を得ることができた。
「まずは黒井。ヴァイオリンを弾いている映像だ」
九十九が言うと「しばらくお待ちください」と言って解答席に背を向ける藤木。なんでも1人で進行しなければならないようだし、色々と大変であろう。
しばらくすると黒井がヴァイオリンを弾く映像が、モニターに流された。右手に弓を持ち、それで弦を擦りつつ、左手を巧みに動かす演奏は、すでに一度見たものである。どこかの発表会らしき映像が淡々と流れる。
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