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第1問 理不尽な目覚め【解答編】
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このクイズ番組の厄介なところは、再現映像内で犯人が分かったとしても、解答者の中の誰が犯人なのかは分からないところにある。現状、白川が犯人だということは確定したわけであるが、そこからもうひと手間――白川と司馬がイコールであることを証明しなければならない。だからこそ、司馬は開き直って啖呵を切ったのであろうが、残念なことに証明することはすでに可能なのだ。
「再現映像の中の白川が犯人だとすれば、まず女性陣は犯人から除外されますよね。再現映像の中で、白川が男性であることが分かっていますから」
司馬とにらみ合いをする九十九をよそに、アカリがぽつりと口を開く。司馬を追い詰めるためには、数の暴力が有効。もちろん、彼女が口を開き、ごく当たり前のことを言うことに意味がある。
「白川が男性であることは確定している。となると、犯人となり得るのは俺、長谷川、数藤――そしてお前ってことになる」
司馬から目をそらさないようにしつつ、むしろさらに強く睨みつけながら、犯人を絞る九十九。おそらく、司馬が想定している絞り込みはここまで。ここから先は何の証拠もないだろうと思っている。そうでなければ、開き直ることなんてできないであろう。案の定、司馬が睨み返してくる。
「確かに、そこまでは絞り込むことができるだろう。でも、そこから先の絞り込みはできるかい? もしできないのであれば、そっちの言い分は机上の空論だ。白川が犯人だということ自体は正解なのかもしれないが、その先を間違っちゃ意味がない。みんなも、こいつの言うことを鵜呑みにしないで、もう一度考えてみたほうがいいんじゃないか? 俺とこいつだったら――どっちが人を殺しそうだと思う?」
番組のルール上、まだこの時点で解答を変えることが可能である。だからこそ、司馬は必死になって周囲へと訴えかけている。もう、どんなことをしたところで、揺るぎのない証拠があるというのにだ。
「うーん、人相だけで見ると九十九ッチのほうが人を殺しそうだけど」
わざわざ口にしなくてもいいようなことを口にして、結果的に司馬の言葉を助長させるような形にしてしまったのは凛である。申しわけないが、人相と性格の悪さは生まれつきだ。自分ではそこまでではないと思っているのであるが、目つきが特に悪いせいか、人相が悪いと思われがちだし、また自分では周囲に充分優しい人格者だと思っているのだが、これも第三者から見ると、かなり性格がねじ曲がっているらしい。なんにせよ、こればかりはどうにもならない。
「再現映像の中の白川が犯人だとすれば、まず女性陣は犯人から除外されますよね。再現映像の中で、白川が男性であることが分かっていますから」
司馬とにらみ合いをする九十九をよそに、アカリがぽつりと口を開く。司馬を追い詰めるためには、数の暴力が有効。もちろん、彼女が口を開き、ごく当たり前のことを言うことに意味がある。
「白川が男性であることは確定している。となると、犯人となり得るのは俺、長谷川、数藤――そしてお前ってことになる」
司馬から目をそらさないようにしつつ、むしろさらに強く睨みつけながら、犯人を絞る九十九。おそらく、司馬が想定している絞り込みはここまで。ここから先は何の証拠もないだろうと思っている。そうでなければ、開き直ることなんてできないであろう。案の定、司馬が睨み返してくる。
「確かに、そこまでは絞り込むことができるだろう。でも、そこから先の絞り込みはできるかい? もしできないのであれば、そっちの言い分は机上の空論だ。白川が犯人だということ自体は正解なのかもしれないが、その先を間違っちゃ意味がない。みんなも、こいつの言うことを鵜呑みにしないで、もう一度考えてみたほうがいいんじゃないか? 俺とこいつだったら――どっちが人を殺しそうだと思う?」
番組のルール上、まだこの時点で解答を変えることが可能である。だからこそ、司馬は必死になって周囲へと訴えかけている。もう、どんなことをしたところで、揺るぎのない証拠があるというのにだ。
「うーん、人相だけで見ると九十九ッチのほうが人を殺しそうだけど」
わざわざ口にしなくてもいいようなことを口にして、結果的に司馬の言葉を助長させるような形にしてしまったのは凛である。申しわけないが、人相と性格の悪さは生まれつきだ。自分ではそこまでではないと思っているのであるが、目つきが特に悪いせいか、人相が悪いと思われがちだし、また自分では周囲に充分優しい人格者だと思っているのだが、これも第三者から見ると、かなり性格がねじ曲がっているらしい。なんにせよ、こればかりはどうにもならない。
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