クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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第1問 理不尽な目覚め【解答編】

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「えっと――それだと、絶対にA地点には戻ってこれませんよね? A地点からB地点に向かう時は1本目、3本目目、5本目と、必ず渡る橋が奇数になります。一方、B地点からA地点に戻る時に渡る橋は、2本目、4本目、6本目と必ず偶数になる。だから、7本目を渡ってしまうとA地点ではなくB地点が終着点となってしまいます」

 柚木はすぐに理解してくれたようだが、長谷川と凛は理解するのに、やや時間がかかった。それでも、ようやく理解できたようであり、長谷川は自然と九十九の言葉を待つように視線を向けてきた。凛は小さく「あー、そういうことかぁ」と溜め息を漏らした。

「さて、この一見して不可能に思える問題だが、実に面白いジョーク的な別解があるんだよ。くっくっくっくっ、この話を聞いた時は、腹がよじれるかと思ったほど大笑いしたものだ」

 数藤という人物――キャラクターは濃いくせに、どうにも掴めないところがある。考え方そのものが人とずれているというか、やはり偏屈者といったイメージが強い。

「えっ。でも、どう考えても最終的にA地点には戻れないですよね? A地点に戻る時は、必ず偶数本目の橋を渡り、B地点に向かう時は必ず奇数本目の橋を渡ることになる。橋が7本である以上、絶対に無理だと思います」

 司馬の良きパートナーとなりそうな雰囲気だったアカリが、宙に視線を泳がせながら言う。その仕草は――なんだか司馬と目を合わせまいとするために、ごまかしているように見えた。

「A地点とB地点。その真ん中を流れる渓谷。渓谷にかけられた7本の橋。これらの情報だけで考えるから不可能に見えるだけで、実はしっかり7本目を渡ってA地点に戻る手段はある。まぁ、現実的かと問われれば、そうでもないがなぁ」

 九十九が言うと、まるでそれ以上は言うなとばかり、数藤が鋭い視線を向けてくる。ぎょろりとした目をこれでもかとばかりに動かし、九十九のことを凝視するの数藤は、やはり異質で、九十九の目からも不気味に映る。

「で? どうやってA地点から7本の橋を渡って、A地点に戻ってくるんだ?」

 きっと九十九に先を越されたくなかったのであろう。数藤が長谷川の疑問に口を開く。

「この問題。A地点とB地点を、奇数本の橋を使って単純に往復するだけの問題だ。よって、問題自体を極端に要約するとこうなる。A地点とB地点の間に渓谷が流れている。そこに1本だけ橋がかかっている状態で、一度だけ、たった1本の橋を渡ってA地点に戻って来ることができるのか――。あるユーモアのあるジョークを交えれば、可能なんだよ」
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