クイズ 誰がやったのでSHOW

鬼霧宗作

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第1問 理不尽な目覚め【解答編】

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 良くも悪くも分かりやすいというか、その一言を聞いた途端、司馬の顔色が明らかに悪くなる。血の気が引く――というのは、彼のような状態を指すのであろう。

「あの、それってどういう意味ですか?」

 比較的、司馬と一緒にいたアカリが、あからさまに司馬と目を合わせるのを避けるかのごとく、遠回しに九十九へと視線をくれてくる。いかにも、この中でリーダーシップを取り、それこそ主人公のようなポジションに収まりつつあった司馬が、実は人殺しだった。それが彼女に与えた衝撃は、きっと小さなものではないだろう。彼女の声は震えていた。

「そのまんまの意味だ。まぁ、洗面器――じゃなくて、おそらくバケツの水で黒井を溺死させたんだろうがな」

 さて、ここからあれこれと途中で口を挟まれても面白くない。独壇場とさせていただく。そう考えた九十九の神経を逆なでるかのごとく、数藤が横から割って入る。

「くっくっく――。多目的ロープをバケツにくくりつけ、それを橋の下に向かって降ろして、河川の水を汲み上げる。あらかじめバケツと多目的ロープを用意しておけば、そこまで時間のかかる動作でもないだろう。他の連中の目を盗めば、バーベキューをやっている最中でも、河川の水を手に入れることは可能だったということだよ」

 九十九と同じ着地点が見えているであろう数藤は、まるで空気など読まずに美味しいところだけを持っていこうとする。ここからが面白いところだというのに――。九十九は負けじと口を開いた。

「犯人は多目的ロープとバケツを使って、あらかじめ河川の水を入手しておいた。だからこそ、多目的ロープなんてわけの分からないものにも、使用した痕跡が残っていたんだ。これなら、そこのおっさんが言った通り、バーベキューをやっている間に河川の水を入手することができた。仮に自由時間の間でも、5分もあれば水を汲み上げること自体は可能だ。まぁ、自由時間の前に調達しておいたと考えて間違いないだろうな。そのほうがスムーズにことが運ぶ」

 別に数藤と競うつもりはないのであるが、数藤が変に対抗意識のようなものを向けてくるものだから、なんだか腹が立つ。案の定、九十九の言葉に続くようにして数藤が追随する。

「こうして用意されたバケツ一杯の河川の水。犯人はこのバケツの水で黒井を溺死させたのだよ。これもまた、手際良く段取りができていれば5分かからぬだろう。つまり、他グループと飲んでいた白川と青野、コテージに帰るまでの時間が空白の時間となっている赤間にも、黒井を殺害する時間くらいならあったということになる」
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